数年前からモーターショーの凋落がささやかれつつある。先進モデルはデトロイトモーターショーよりもCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)で出ると言われ、東京モーターショーも規模縮小や来場者数減少など心配の種が尽きない。しかし、これが時代なのかもしれない。そんな中、フランクフルト国際自動車ショーの期間中にダイムラーが開催した「me-convention」は注目すべきイベントだと言える。
クルマの電化とITの発展が変えるモーターショーの意義
従前のモーターショーでは斬新なフォルムのコンセプトモデルを飾り、エンジンのモックアップや要素技術を展示してきた。10年ほど前はwell to wheel(井戸=燃料採掘から車輪=車両走行まで)のwell多様化論が花盛りで、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、ハイブリッド車(HV)、電気自動車(EV)、燃料電池自動車(FCV)、天然ガス自動車(CNG)など、多種多様なモデルを並べることができた。
しかし、今のテーマは電化だ。これはエンジンのモックアップのような、見て触れられる技術展示には不向きで、スクリーンやパネルで概念などを伝えることになる。今回、フランクフルト国際自動車ショーの会場に活気が感じられなかったのは、展示物に迫力や斬新さがなかったせいもあるだろう。
また、ITの発展は現場に行く必然性を薄れさせている。通信社や速報系メディアは取材したさきから小まめに情報をアップし、メーカーも発表と同時に公式サイトで情報を公開する。ダイムラーは「Mercedes me Media」を立ち上げ、プレスカンファレンスの模様をいつでもオンラインで閲覧できる体制を整えた。
今後、セールスに直結する商談会としてのショーは引き続き成立し得るが、新しい技術やモデルの発表会としてのショーはもはや厳しいかもしれない。これからのモーターショーはいかにしてその存在意義を見出すべきだろうか。ダイムラーがSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)と連携して開催した「me-convention」は、ひとつの方向性を示唆している。