ハードウェア面で大きな変化をもたらしそうなのが、ワイヤレス充電だ。今回発表されるiPhoneは全モデルで、Lightningケーブルを差し込まなくても充電できる仕組みを備えるとみられている。ワイヤレス充電は、Apple製品の中ではApple Watchで既に採用されているが、スマートフォンではAndroidハイエンドスマートフォンに先を越されてきた。

iPhoneがワイヤレス充電をサポートするにあたり、いくつかの疑問点がある。まず、Wireless Power ConsortiumとAirFuel Alliance、どちらの規格に準拠するのかという点。そしてワイヤレス充電のネックとなっている充電速度の問題だ。

Appleは2017年2月に、Wireless Power Consortiumのメンバーに参画している。また2015年に発売したApple Watchのワイヤレス充電はQiの規格を活用しているが、Apple Watchを他のQi対応ワイヤレス充電器で充電することはできない。Wireless Power ConsortiumのQi準拠規格をiPhoneでも採用することが濃厚だと考えられるが、iPhoneをワイヤレス充電に対応させる場合、Apple Watchのように、汎用の充電器を使えないようにするのかどうか。またApple自身が充電器を発売するのかどうか、という点がまだ不透明だ。

米国では、Starbucksは、Qiの競合となるワイヤレス充電規格Powermatのワイヤレス充電器をカフェのテーブルに内蔵する取り組みを始めている。一方、McDonaldでは、Qi対応の充電器をテーブルに組み込むという施策を採っている。また、米国自動車メーカーの高級SUVでは、運転席と助手席の間のグローブボックスの天板をワイヤレス充電器として、スマートフォンを置くだけで充電することができる機能を搭載している。世界的な家具メーカーのIkeaも、ワイヤレス充電機能を備えた電気スタンドを既に販売している。こうした動きを見ていると、「Made for iPhone」のワイヤレス充電器に限って利用可能とするメリットは非常に薄くなる。

もう1点、充電速度についてだ。iPhoneはこれまで5Wの充電器を付属させているが、iPadなどに付属しているより大容量の充電器を使用することで、通常よりも早く充電することが可能だった。MACお宝鑑定団によると、AppleがiPhone 8でサポートするワイヤレス充電機能は、Qi規格の最大である15Wの半分、7.5Wになると報じている。そして、Appleが用意する充電器が登場する場合、iPhoneとApple Watchの双方を1つのデバイスで同時に充電できるようになる可能性もあるという。そうなれば、ベッド回りをスマートにすることができるかもしれない。