―― ところで、日本においては、2017年7月27日正午から、Mixed Realityの「Windows Mixed Reality Headsetデベロッパーエディション」の予約を再度開始しましたが、わずか10分間で売り切れてしまうという人気ぶりでしたね。
チェン氏 : 私も驚きました(笑)。AcerのMixed Realityは、先進的なMicrosoftのシステムを使っており、そこに価値があります。Microsoftのエコシステムを活用したコンテンツの価値も大きいといます。現在、出荷しているのはデベロッパー向け製品であり、コンシューマ向け製品は、今年(2017年)10月に出荷する予定です。
まずは開発者に向けて製品を提供し、コンシューマユーザー向けのコンテンツを作ってもらい、市場を盛り上げていく流れを作りたいと考えています。日本の市場は、テクノロジーにおいては先進的な市場であることを理解しています。ですから、先進技術であるMixed Realityにおいても、日本市場をしっかりとサポートできる準備を整えていきます。
―― 今後のMixed Reality市場の成長をどう捉えていますか。
チェン氏 : 私は、VR、AR、そしてMixed Reality(MR)は、次に大きく飛躍する大変エキサイティングな分野だと考えています。VRやARにもたくさんのアプリケーションが出ていますが、映画やゲームの世界が現実のものとなって利用できるという点が大きな魅力です。
たとえば、ひとりのユーザーが映画を観たら、それと同じ環境をインタラクションできるコンテンツとして、VRやARで体験することができるといった提案が可能になります。また、飛行機を設計したり、クルマを設計したりする人たちにおいても、Mixed Realityの活用という点で大きなポテンシャルがあると考えています。
いま、VRのヘッドセットに接続されるPCが2000万台あるといわれています。そのうち1,000万台が、MicrosoftのMixed Realityに接続されると予測されています。一方で、Mixed Realityには挑戦すべき課題もあります。そのひとつが、コンテンツのフォーマットが全世界で統一されていないという点です。
―― エイサーは、Mixed Realityの世界において、優位な立場を維持できるのでしょうか。
チェン氏 : それについては強い自信があります。現時点で、Windows 10をベースにしたMixed Realityは、他社に先駆けて、Acerだけが市場に提供可能な製品を持っています。これまでに全世界に向けて約1万台を出荷しています。これは、Mixed Realityの市場において、Acerが非常に重要なプレイヤーであることを示しています。
また、Acerは、スウェーデンのスターブリーズと設立した合弁会社を通じて、VRのコンテンツを持っているという点も強みです。スターブリーズのStarVRは、210度という広い視野角を持っていますし、コマーシャル向けのコンテンツを開発したり、ハリウッドとも一緒に仕事をしたりしています。
そしてもうひとつは、ヘッドマウントディスプレイを動作させるためにはPCが必要になりますが、この領域は我々が得意とするところです。これについては、様々なことを考えています。2017年8月には、独ベルリンで開催されるIFAにあわせて開くプレスカンファレンスで詳細を発表しますので、それを楽しみにしていてください。
―― 今後、エイサーのどんなところに注目をしておけばいいでしょうか。
チェン氏 : ひとことでいえば、「The best is yet to come.」。Acerにとって、ベストといるものはまだ来ていません。私は、CEOとして、船を漕ぎだして3年半。この7月から会長という新たな仕事が加わりました。2つの仕事に取り組んでから、まだ1カ月です。つまり、始まったばかりです。ぜひ、これからのAcerに期待していてください。日本のユーザーに、満足し、驚いていただける製品を出していきます。