AppleはiPod nano/shuffleの販売終了で、iPod touchのみをミュージックプレイヤーのラインアップに残すことになった。iPod touchを純粋なミュージックプレイヤーと分類するべきかどうかは悩むところだ。
なぜなら、iOSが動作し、様々なアプリを利用できる、通信機能のないiPhoneのような存在だからだ。iPhoneがアプリとして音楽機能を提供しているのと同様に、iPod touchもミュージックプレイヤーでありながらさまざまなアプリを利用するが前提となったデバイスとなっている。音楽だけを楽しむという利用パターンからは逸脱したところにあるのだ。その意味で、Appleはデバイスとして音楽を聴く用途に特化している製品は、2017年12月に発売するHomePodだけになる。ストリーミング音楽時代のホームスピーカーで、Siriを搭載しスマートスピーカーの競合とみられているが、Appleにとって唯一の、純粋なオーディオ製品となる予定だ。
別の角度から、iPodの後継機種を考えてみると、Apple Watchという存在がある。
Apple Watchには音楽を聴く機能があり、AirPodsなどのBluetoothヘッドフォンをペアリングすることで、出先でも音楽を聴ける。ただその際、iPhoneにダウンロードされている音楽をApple Watchに「同期」し、インターネットへの通信環境がない場所での音楽再生を実現しているのだ。
ホストするのがMacやWindows PCではなくiPhoneに変わったが、Apple WatchはiPodと同様の、同期型ミュージックプレイヤーなのだ。
前述のように、iPod shuffleは、ウェアラブルミュージックプレイヤーという存在だった。またiPod nanoには、バンドを着けることで、現在のスマートウォッチのように手首に装着でき、文字盤を18種類も備えていた。
Apple Watchでもミュージックプレイヤーは1つの機能でしかないが、身につける時計型の音楽プレイヤーという存在は、iPod shuffleとiPod nanoの後継機種のような存在、と考えることができる。