電気自動車ならではの加速

実際に、今回はミニのPHV「MINI Cooper S E Crossover ALL4」を試乗してみた。このPHVシステムは、2シリーズの「225xe Active Tourer」と同様で、前輪は直列3気筒ガソリンエンジンで駆動し、後輪をモーター駆動する。基本的な走行モードでは、バッテリーに充電されていれば発進からモーターのみで走行を行い、バッテリー電力が不足したり、急加速をしたりした場合にはエンジンが始動する。

ミニのPHVに試乗

試乗の日は、バッテリー満充電で出発した。まずは基本設定のモーター走行を味わう。軽くアクセルペダルを踏み込むだけで、スッと発進し、すぅ~と速度を上げていく様子は、まさにモーター駆動ならではのEV走行を味わえる。もちろんエンジン音がしないので、室内は静粛であり、同乗者との会話も声を張り上げる必要はない。聞こえてくるのは、タイヤが発する騒音だけと言っていい。

フル充電であればモーターだけで最高時速125キロ、最大走行距離約40キロの走行が可能だ

しばらく走るとエンジンが時々走行に関わってくるが、ハイブリッド走行なのでアクセルペダルを戻すと回生が働き、バッテリーに充電される。なので、メーター内の充電計は走行中に減ったり増えたりする。

ちなみに、充電が残り1%になったときも運転したが、少しアイドリングしていれば2%になり、また、たとえ0%表示であっても発進は必ずモーターで行う設定になっているので、最も燃費が悪化する発進の場面で燃料を使わずに済むのも特徴だ。

燃費が悪くなる発進時に燃料を使わずに済む設計となっている

HVが限られる輸入車市場、PHVを選ぶのもアリかも

戸建て住宅であれば、10万円ほどで200V電源の充電用コンセントが設置できる。集合住宅における充電設備設置の問題はあるが、ビー・エム・ダブリューでは、クルマを購入してから1年の間、公共充電設備を無料で利用できるキャンペーンを展開。これは、PHVを充電して乗る感覚を、少しでも多くのユーザーに味わってもらおうという施策だ。

また、公共のショッピングモールなどの駐車場で充電器を利用する場合、店舗の入り口に近い場所に駐車できる場合が多いのも利点だとビー・エム・ダブリュー広報は話していた。

MINI Cooper S E Crossover ALL4は、日常の利用に手ごろな車体寸法であり、ミニの中でも人気車種の1つだ。日常をほぼモーター走行だけで済ませ、遊びに出かける遠出の際にはモーター走行とハイブリッド走行を併用しながら、充電を気にせず、未舗装路へも入り込んで行けるのがクロスオーバーとしての魅力でもある。

街中にも遠出にも対応できるのがクロスオーバーの魅力だ

自宅や勤務先に充電施設が整うのは先の話になったとしても、時代が電動化へ動いているのは間違いない。これまでHVの車種構成が限られてきた輸入車において、手ごろな価格で購入できるPHVは、1つの選択肢としてあり得るのではないだろうか。

ことにビー・エム・ダブリューの場合、東京の江東区青海にBMWグループトウキョウベイ(BMW GROUP TOKYO BAY)があり、BMWジーニアスと呼ばれる営業とは別のスタッフが、試乗やクルマの案内をしてくれる。買うか買わないかを気にせず、まずは1度、PHVに乗ってみてほしいというのがビー・エム・ダブリューの思いだ。