BMWの日本法人が「MINI」(ミニ)ブランドにプラグインハイブリッド車(PHV)を追加した。ミニから電動車両が登場したことに意外な感じを抱く人もいるかもしれないが、BMWは電動化を積極的に進めており、ミニにも車種を拡充した形だ。日本には電動車両の普及を遅らせかねない特有の事情もあるが、ミニは新たな選択肢として受け入れられるのだろうか。

ミニのPHV「MINI Cooper S E Crossover ALL4」

BMWブランドで充実するPHV

BMWの日本法人であるビー・エム・ダブリューが、ミニのPHV「MINI Cooper S E Crossover ALL4」を7月に発売したことは、すでに報告済みである(詳しくはこちら)。ミニとしてPHVは史上初の登場ではあるが、BMWブランドではすでに、「X5 xDrive40e」を皮切りに「330e」「225xe Active Tourer」「740e」「530e」と目白押しの品ぞろえで、そこにミニも加わったことになる。

BMW「740e iPerformance」

一方、日本車では三菱自動車工業の「アウトランダーPHEV」に次いで、昨年ようやくトヨタ自動車から「プリウスPHV」が発売されたにとどまる。なぜ、BMWはそこまでPHV導入に積極的であるのか。また、その魅力や販売動向はどのようになっているのだろうか。

ポルシェすら電動化する時代に

欧州では、2021年からメーカー各社平均での新車の二酸化炭素(CO2)排出量を、1キロメートルあたり95グラム以下としなければならない規制が始まる。これは、欧州の燃費計測モードで1リッターあたり約30キロという燃費を全ての新車で達成しなければならないほど厳しい内容だ。

なかでも、プレミアムブランドと称し、高級車や高性能車を主力に販売するメルセデス・ベンツ、BMW、アウディ、ポルシェといったメーカーは、車体が大きいことから車両重量が重かったり、高性能エンジンを搭載するため燃費がよくなかったりして、現状のままで規制に対応するのは難しい状況だ。ガソリンより燃費がいいとされるディーゼルエンジン車でも達成し切れない規制値なのである。

そこで、排ガスを出さないクルマ、つまりは電動車両に取り組むことが不可欠になる。ポルシェでさえ、「パナメーラ」や「カイエン」にはPHVをすでに導入しているのである。