iMessageについては、単純なコミュニケーションツールとしてではなく、Appleプラットホームにおける第一のメッセージングプラットホームへと育てようする動きが伺える。iOS 10で更新されたiMessageアプリは、ステッカーやアニメーションだけでなく、アプリの機能をコミュニケーションの上で利用する新しい展開を見せた。
iOS 11ではiMessageによる個人間送金機能を実装する。Apple Cash Cardを設定することで、iMessageを通じて簡単にお金のやりとりができるようになる。Apple Cash Cardは、PayPal傘下に入った個人間決済のブランド「Venmo」に近い。そのモデルを参照するなら、こんな仕組みで動くことが想定される。
iMessageで個人間送金を受けた際に、その金額を一度プールするためのAppleの口座、という位置づけだ。ここにプールされたお金は、別の人に送金する際に使ったり、Apple Payの支払いに活用したり、あるいは自分の銀行口座に入金することができるようになる。となれば、iOS 11で、Appleは個人間決済プラットホームだけでなく、当座預金的な銀行の役割を担うようになると考えられる。
また、iMessageはこれまで個人に紐付いていたが、今後は企業もiMessageプラットホームを活用できるようになる。これはFacebookメッセンジャーやLINEの競合になることを意味する。iMessageビジネスチャットは、2018年に公開予定で、開発者向けにプレビューが始まる。
Appleはビジネスチャットについて、顧客とのコミュニケーション手段として、電話が常に最も有効な方法ではなく、またiPhoneらしくない、と説明する。電話がつながるまでの順番待ちも無駄な時間だ。よく分からない製品の状況を写真を使って伝える、予約を取る、支払いをする……。こうした顧客のニーズに応える手段として、iMessageを活用できるようにしよう、というものだ。ビジネスチャットのアカウントは、ウェブブラウザ(Safari)、Siriと検索、マップアプリから見つけることができ、顧客が電話の代わりにチャットでコンタクトが取れるようにするという。