主要機能については本連載でも解説してきたが、AppleはiOS 11で、さらに多くの機能を用意している。基調講演で触れたもの、触れなかったものについても、詳しく解説していこう。

Siriの進化は思ったほどではなかった

iOS 11で個人的に残念に感じたのは、Siriの進化が思ったほど大きくなかった点だ。より広範なアプリをSiriからコントロールできるようになることを期待していたが、今回追加されたSiri Kitを利用できるアプリのジャンルは、自動車のコントロール、リスト作成、QRコード読み取りに留まる。Evrenoteにリストを作成するといったことも可能にはなるのだが。

ライドシェアリングのスケジュール機能に対応するなど、いろいろ盛り込まれてはいるのだが……

これまでも対応してきたライドシェアリングについては、スケジュール機能に対応した。また金融サービスでは個人間送金に加え、請求書の支払いや銀行口座の操作にも対応している。

基調講演でも触れていたが、よりナチュラルな音声を実現し、翻訳機能を備えるようになった。このあたりは、機械学習フレームワークに「言語の種類の認識」という機能が加わっていたことから、Siriも同様の機能を活用して実現していると考えられる。

面白かったのは、Siriに対して声ではなく、文字入力で質問をする機能を用意したことだ。アクセシビリティへの配慮だけでなく、声が出せない環境でSiriを利用したい場合にも役立つことになる。Siriとの間で、声のみならず文字による対話インターフェイスを装備することは、筆者が想定していた「Siriが広範なアプリに対して対話インターフェイスを与える」という予測の入口になるだろう。

多くの人にとっては、Siri=音声アシスタント、という認識が強かったが、本連載でも触れた通り、Siriは必ずしも音声アシスタントや声のインターフェイスではなく、Appleの機械学習、人工知能のブランド、もしくは人格、ととらえた方が的確だろう。前述の機械学習フレームワークや検索なども、Siriのチームに内包されているのだ。