FacebookはAR活用について、「情報表示」「デジタルオブジェクト」「装飾」の3つを挙げた。またGoogleは、Googleアシスタントの「目」となるGoogle Lensを披露し、情報表示とデジタルアシスタントを結びつけた。
Appleは両者のような具体的な活用事例を、WWDCで示したわけではない。そうしたアプリも含めて、iPhoneやiPad向けのアプリに、ライセンス不要で利用できるAR環境を提供したのが、AR Kitということになる。
よって、AR自体の活用を考えるのは、Appleではなく開発者なのだ。
AR活用のデモとしてWWDCの壇上でも披露されたのがゲームだ。何もない目の前のテーブルをフィールドにした高度なARゲーム「Wingnut AR」は、その臨場感と背景に映る基調講演会場の客席の違和感が面白かった。
またWWDCの会場では、大ヒット作でARゲームとしても扱われている「Pokemon GO」が、AR Kitによって、モンスターを地面に立たせる機能が実装されることをアナウンスしていた。加えてTim Cook CEOはインタビューで、組み立て家具専門店のグローバルブランドIkeaとの連携により、部屋の中にIkeaのアイテムを配置することができるARアプリの例を語っている。
また、Twitterでは、既にAR Kitでの開発を試した開発者によるアプリの例を見つけられる。それを見ると、部屋の中に月を登場させたり、レーシングカーを地面の上に配置して走らせたり、立方体を平面で転がしたり、庭に実物大のプロペラ飛行機を登場させたりといった按配だ。Twitter検索を見てみると、実装例は増え続けているので、ときどき見てみると面白いのではないだろうか。