アップルのARKitに触れた感想は限られるが、「今までのデバイスだけで、非常に正確な測距を行い、それを維持し続けている」という点だ。
こうした実用的なAPIが、iOSアプリを開発する開発者に対して、無償で提供される点は価値が大きい。今までのARアプリ開発では、ARを実現するライブラリをライセンスして組み込まなければならなかったからだ。
iOS 11の開発者向けプレビューを用いて、開発者たちがARKitを用いたサンプルアプリを作り始めている。その中で最も重要性が高かったのは、バーチャルな巻き尺だ。
実際の巻き尺と並べて距離を測るデモは若干酷にも見えるが、ゆっくりとしたスピードでまっすぐカメラを動かしている間は、寸分違わず巻き尺と同じ数字を示していることが分かる。
またこちらのデモは、ARKitを用いて空間にお絵かきをするデモ。この位置情報を記録しておけば、他の人が同じアプリを開いたとき、そこに配置されているイラストを見ることもできるだろう。
こちらは、数多くのゲームで用いられているUnityでARKitを行っているデモだ。ARKitは、アップルのMetalやSceneKitだけでなく、サードパーティーの3D開発環境、UnityやUnreal Engineをサポートしている。ARKitを用いると、そのままAndroid向けのアプリにすることはできないが、既存のリソースを生かしたARアプリの実現を可能にしている。
アップルは、アプリを通じて開発者のアイデアを、スマートフォンや様々なテクノロジーの用途の拡大に活用してきた。ARについても、開発者が様々なアイデアをアプリで試し、人々に何が受け入れられていくのかを試していく、そんなプロセスに立ったことになる。