Core MLについて見てきたが、開発者にとって、アプリをよりインタラクティブに、また賢く感じさせることができる機能として、Core MLを活用することができるようになった、と言える。
前述の通り、インストールしたアプリ自体が学習を進めていくわけではないため、バージョンアップの際に機械学習モデルも更新して収録する、という作業が必要となる。そのため、アプリは今後、次のような要素によって、ユーザー体験をデザインしていくことになる。
- 機能
- ユーザーインターフェイス
- 機械学習モデル
もちろん、全てのアプリがCoreMLを活用する必要はないが、同じカテゴリのアプリの中で比較した際の差別化につながり、またユーザー体験を構成する上で、「気が利く」「自分のことを分かっている」「臨機応変さ」「賢さ」といった印象を与えることにもつながっていく。
特にApple Watch向けのアプリは注目だ。
ディスプレイが小さく、一般的なタッチ操作が難しかったり、機能の呼び出しがしにくいデメリットを逆手にとって、機械学習モデルを役立てたレコメンドを中心としたユーザー体験の設計は、非常に有効な手段となるだろう。
松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura