今回の発表で面白かったのは、Apple WatchやApple TVの上でも、機械学習を有効利用したアプリを開発することができるとした点だ。watchOS 4のSiriは、その人のその日の運動状況に応じて、おすすめのエクササイズ(と消費カロリー)を提案する機能を備えている。Apple TVでは、おすすめの番組を提案する機能を備えたストリーミングアプリの登場にも期待できる。
開発者が、Appleの機械学習をアプリへ活用する際、GoogleやAmazonといった他の企業のアプローチとは異なる方法論で臨むことになる。Appleは、手元のデバイスの中で、機械学習アプリを動作させる仕組みを作り出したからだ。
Core MLのメリットについて、5点、簡単にまとめてみた。
1.デバイス上で処理するため、データをサーバなどの外部に送信しなくて良い。そのため、特に機密性の高い健康や医療に関するデータについても、安心して機械学習を活かしたアプリでの利用が可能となる。
2.前述の理由から、機械学習のアプリを活用する際でも、外部のデータ接続が不要であり、データ通信量を気にせず利用できる。
3.機械学習の処理を行う場合、これまではデータをサーバに転送し、その結果をクライアントやアプリで利用してきた。そのため、データ通信量の他に、サーバの利用コストが必要となっていた。CoreMLでは、サーバのコストなしに、機械学習モデルを使ったアプリを提供できるようになる。
4.デバイスごとに機械学習処理を行えるので、前述のデータやサーバのコストを気にせず、かつ、負荷分散などを考えず、24時間、各デバイス内で機械学習処理を利用することが可能となる。
5.機械学習モデルは、Appleが提供するツールにより、既存のPythonベースのモデルをそのまま利用できる。変換したCoreMLのモデルをXcodeに読み込むことで、自動的にSwiftに変換され、アプリ内で利用可能となる。
CoreMLは、既存の機械学習モデルをそのまま転用でき、また実行についてもコストがかからない環境を用意することで、開発者がより手軽に、機械学習を役立てたアプリを開発することができるようになる。