PC市場は二極化した。タブレットとモバイルノートが融合したデタッチャブル、そして3DやVRのゲームを楽しむゲーミングPCやモバイルワークステーションというカテゴリに分かれているのが現状だ。そうしたトレンドの中でMacは、iPad、MacBookシリーズ、iMac、Mac Proという主要ラインで対抗しているが、Macの好調さの陰で、iPadの低迷が続いている。
加えて、Macは、高性能PCの用途としてキーワードとなっている「VR」について、これまでなかなか関わりを持つことができなかった。ゲームを中心に伸びている市場だが、PCに比べてユーザー数が少ないMacにおけるVRゲームの対応は、ゲーム開発者にとっても手をつけるにはリスクが伴う、という側面があったのは否定できない。
しかしAppleも、MacをVRに参加させるアップデートをようやく仕掛けてきた。WWDC 2017の基調講演のデモでは、iMac 27インチにヘッドマウントディスプレイを接続し、『スター・ウォーズ』の世界に興じる様子が映し出された。MacでVRコンテンツを楽しめるということを、開発者の前でアピールしてみせたのだ。
最大で5.5テラフロップス(フロップスは1秒間の浮動小数点演算の回数)というグラフィックス性能と、macOS High Sierraに実装されたMetal 2のVRサポートによって、弱点であったVRを強化し、取り柄とするように変化させることができた。ここでも、Appleの、ハードウェアとソフトウェアの両輪での問題解決が行われている。
iMacはあくまで、VRコンテンツの制作の場面での活用を想定しているという。VRコンテンツの消費については、iOSデバイスでの実現を、将来描いているのかもしれない。