ソフトバンク系のMVNOが誕生
ソフトバンクが、MVNO向けにネットワーク設備の卸しを開始した。これについて、各事業者ではどのように捉えているのだろうか。OCNモバイルONEの岡本氏は「お客さまの望むサービスを提供するための手段になるのではないか」としつつも、「弊社では基本的には、いまの形態でより安心に使えるサービスを提供していきたい。OCNモバイルONEとしては、現時点ではドコモ回線以外の提供は考えていない」とした。
mineoの上田氏は「mineoではこれまでau回線、ドコモ回線と取り扱いを開始してきた。順番からするとソフトバンク回線の取り扱いも、ない話ではない。ただ、ドコモ回線で10Mbpsを使用すると67万円かかるが、ソフトバンクでは94万円もかかる。サービスを開始したら、ソフトバンクのお客さんにどのくらい来て頂けそうか、いまは興味をもって情報収集しているレベル」と明かした。
イオンモバイルの井原氏は「マルチキャリアには興味がある。やりたいが、そこまで踏み込めていないのが現状」。LINEモバイルの大熊氏は「ユーザー層が拡大した後に、さらなる顧客拡大を狙う段階で2つめの回線を検討したい。現時点ではドコモ回線に集中していきたい」と回答した。
楽天モバイルの顧客満足度は?
MMD研究所の調べでは、市場のシェアでは圧倒的に1位だった楽天モバイル。しかし総合顧客満足度、顧客ロイヤルティ、問い合わせ対応の良さ、ブランドの信頼度といった項目では上位に出てこなかった。これについて訊かれると、まずMMD研究所の吉本氏が以下のように分析した。
「楽天モバイルと同様にユーザー数の多いワイモバイル、UQ mobileも上位には来ていない。顧客満足度が高いのはIIJ、mineoなど。そこには、企業とユーザーの親密度が関係しているのではないか。楽天モバイルの利用者は、楽天が大好きというよりは、スーパーポイントでお得になるといった付加価値サービスが目的で契約している方が多いのではないか」(吉本氏)。
OCNモバイルONEの岡本氏は「楽天さんは売り方、訴求の仕方がうまいと見ている。彼らの強みはポイント。楽天ポイントをフックにしながら、楽天経済圏で端末を安く見せて、希望するユーザー層を獲得している。プロモーションの仕方など、参考にさせていただいている」。mineoの上田氏も「皆さんのおっしゃる通りの印象。学ぶべきところは学んでいきたい」と語った。
イオンモバイルの井原氏は「楽天モバイルさんは、ポイント制度がしっかりしている。それ以外は、大手キャリアに近い展開方法になっている」と分析。大熊氏は「プロモーションがうまい、販路が大きい、楽天経済圏がある。顧客満足度は"使ってみてどう思うか"で、これは加入ではなく解約に影響すると思われる。私たちが目指しているのは解約率の低いサービス。1%以下を目標にやっていきたい」とした。