MMD研究所は26日、メディア向けにMVNO勉強会を開催。NTTコミュニケーションズ(OCNモバイルONE)の岡本健太郎氏、ケイ・オプティコム(mineo)の上田晃穂氏、イオンリテール(イオンモバイル)の井原龍二氏、LINEモバイル(LINEモバイル)の大熊一郎氏が登壇し、記者団の質問に本音で回答していった。
そのCM費用、どこから出てるの?
大手キャリア各社がMVNO対策を強化している。まずは、これについてMVNO各社の対応状況を聞いた。この質問が面白いのは、企業が置かれた背景によって回答の趣きが異なるところ。OCNモバイルONEの岡本氏は「同じところを狙いにいったら、体力も違うので勝てない。MVNOの特徴を磨き、そこを活かしたサービスでぶつかっていく」と、いわば優等生的な回答に終始した。
しかしmineoの上田氏は、不満を抑えつつ以下のようにコメントしている。これはmineoが、KDDIの実質的なサブブランド「UQ mobile」の煽りを受けているためだ。
「ライバル企業には、どこからこんなお金が出てくるのか、と思うほど大々的にテレビCMを打っているところがある。MVNO事業者は、大手キャリアと同じ通信速度を出しつつ、あれくらいのCMを打ったらビジネスが成り立たない。どうしても速度は遅くなるし、プロモーションにも費用をかけられない」(上田氏)。
ライバル企業とはUQ mobieに他ならない。そこでmineoでは"オンリーワンの特徴"を前面に出していく考えだという。「mineoにはユーザーさんのコミュニティ、マイネ王がある。mineoって良いサービスだよ、といった口コミを経由して契約していただいた方が、全体の3割を超えた」と上田氏。最後に「サブブランドについては、きっちりと監督官庁に監視していただきたい」と付け加えた。
イオンモバイルの井原氏は「独占禁止法に触れていないかなど、小売事業で気を付けるべき法律は多い。MNOさんのサービスは端末代金が安くて、通信料金も安くて、通信速度は速くて、広告宣伝費もかけられる。実際のところ、こうしたサービスが不当廉売に当たらないかは微妙なところだと思う。おかしな料金体系、価格設定は市場の構造もおかしくする可能性がある。正しい市場をつくっていくために、一般的な料金体系でサービスを提供していただかないと、と懸念している」とチクリ。
ただ、MNOとMVNOはきちんと棲み分けできるとの考え方。「MVNOの特長を活かしつつ、お客さまには納得してご契約いただけるようにしていきたい」と話した。LINEモバイルの大熊氏は「まだサービスを開始して7か月。他社さんに、どうやったら追いつけるかを考えているところ。それには新規参入した事業者が対等に戦える土壌が必要になる。公平な市場を望んでいる」と回答した。