――4曲目の「the end of my world」は、3曲目の「LOSER」に続いてカヨコさんが作曲です

LiSA「カヨコさんの曲が多めなのは偶然です。曲を選ぶとき、誰が書いた曲かわからない状態で選ぶんですよ。まあ、聴けばカヨコさんの曲ってわかるんですけど(笑)、一応わからない状態で選んでいるので」

――「LOSER」に続いて、ちょっとネガティブな方向性のタイトルですが

LiSA「もはや私の得意分野ですね。この2年間くらいで、表に出して言葉にできるようになった、本当にわかりやすいわがままな感情。愛されたいとか、自分のものにしたいとか、そんな素直な感情を表現しています。本当にやばいタイトルですよね。もともと、人を好きになって、自分の世界がマジ終わるみたいなことを言っている人ってめっちゃ嫌いだったんですよ。男の人に溺れちゃう女の人たちって理解できなくて、何言ってんの? 自分で生きろよって思っていたんですけど、でも逆説的な意味で、そういう風に思ってしまう自分は、実はそれが欲しいのではないかと」

――嫉妬の裏返しみたいな?

LiSA「そうそう。手に入らないから、それに希望を持てないから、最初からダメだって決めつけているんじゃないかって思いました」

――実は、そこまで溺れてみたいという自分がいるのではないかと

LiSA「そこまで溺れてしまえるほど愛することができる人に出会えるなんてすごくないですか? そういう恋をしている人を見ると、"ハイハイ、頑張って頑張って"って思っていたんですけど、逆にそれがうらやましくなってきた自分がいる」

――それに気付かされるきっかけって何かありましたか?

LiSA「それはですね……来年はもう30歳になるので、自分のことを振り返ることがすごく多くなって……。30を手前にすると、現実的にいろいろなことを考え出すわけですよ。20代はずっと夢を追いかけて、ずっとみんなと遊べると思っていたんですけど、30手前になると、将来のこととかちゃんと考えて、計画的にしておかないと、後になって、いろいろと後悔するんじゃないかと」

――「ウソだと知ってても なんで 嬉しくなるんだろう」のあたりなどは、昔と今で、大きく考え方が変わった部分なのではないでしょうか?

LiSA「全然違っていると思います。最後なんて『エンドレス the end of my world』ですよ。そんなになるまで相手を信じられたらいいですよね。本当にうらやましい(笑)」

――そんな風になれる自分がいると思いますか?

LiSA「もうなれないんじゃないかな(笑)。想像できないです」

――続く「JUMP!!」は、一転して明るく攻めてますね

LiSA「今までのLiSAを知ってくれている人たちには何の違和感もないと思うんですけど、やっぱり『LiTTLE DEViL PARADE』の中にも楽しいところを入れておきたかった。弱い自分や認めたくない自分を認めてPAREDEするという『LiTTLE DEViL PARADE』のテーマは、楽しいことを見つけていく、という意味でもあるので」

――ライブで楽しめそうな曲です

LiSA「そうなんです。みんなで遊びたいし、ジャンプしたいし、そして、聴いているだけで楽しくなれる曲が欲しかった。最初は自分で歌詞を書こうと思ったのですが、コレが得意なのはやっぱり古屋(真)さんだと思ったので、お願いしました」

――歌詞を最初に見たときの感想は?

LiSA「やっぱり天才ですよね。『髪を下ろしたら 魔法になるかな オフィスで 真面目な顔して作戦立案中』なんて、すごくないです? ただ、『キミの高さは これくらい? 届くかな くちびるに 届くかな』の"くちびる"のところは古屋さんと2人ですごく悩みました。LiSAは"くちびる"と言っていいのか? 古屋が書く"くちびる"はありなのか? みたいな(笑)」

――直接的で生々しい言葉を使ってよいのか、というところでしょうか?

LiSA「そう。その議論を一時間くらいやったのですが、これだけ周りでポップなことを言っているんだから、"くちびる"もポップに聴こえるだろうってところで落ち着きました。『LOSER』や『the end of my world』だったら、世界観自体が若干フェイクだったりするので、リアルなワードもファンタジーになるけど、『JUMP!!』の世界観だと、けっこうリアルじゃないですか。そのワードひとつで、せっかくのポップな世界観が崩れてしまうのはどうなの? っていうのがあったのですが、LiSAの声で歌えばアリなんじゃないっていう感じで誤魔化されました(笑)」

――そこまで考えると、逆に歌うときに意識してしまいませんか?

LiSA「なので、最初はちょっと笑ってしまいました。いやあ、ちょっとかゆいなあって(笑)」

――続く「狼とミサンガ」は、「JUMP!!」に続いて、野間(康介)さんが作曲ですね

LiSA「最初にアナログ感と言いましたが、この曲はエコな感じで、マンドリンが入っていたり、カホンがはいっていたり、バイオリンが入っていたりと、電気を使わず、テントの中でみんなで歌っているというイメージで作ってもらいました」

――歌詞はどういうイメージで書かれましたか?

LiSA「優しい歌がいいなと思いました。こういう優しい歌だからこそ、それを強がっている感じではなく、素直な気持ちを伝えないといけないなって。好きな人と擦り合わせなくてはいけない、噛み合わない感情であったり、自分のほうが好きなのにみたいな、人と生きていく中ですごく悩むところ。そんな中で、その人と生きていくためにはどうやっていくのか? そういうことを考えながら書きました」

――「狼」というワードが意味しているのは?

LiSA「怖いこと、大変なこと。物はなんでもいいんですけど、不安の象徴みたいな感じです。そこに"ミサンガ"、一緒にいようねとか、夢が叶いますようにみたいなお願い事をする、そんなイメージになっています」