Appleはプロ向けのMacの再デザインについて言及しており、これまでと取り組み方を変えることを明らかにしたが、変わらない部分もある。それは、タッチパネルをサポートするMacを発売しない、ということだ。これまでの方針を堅持し、それは、MacがiPad Proの存在価値を奪うことはない、ということを意味する。
ただし、Appleのデバイスの勢力争いと、プロがどのマシンを選ぶかは、別の問題だ。 プロ向けのコンピュータのプラットホームとして対抗馬となるMicrosoftは、「Surface」シリーズで、より積極的にタブレットやその操作性との融合を、Windows上で進めてきた。2015年にはSurface Bookを登場させ、タブレットとノートパソコンの2-in-1スタイルに「デタッチャブル」(取り外し可能な)方式を採用し、タブレット仕様時はより完璧なタブレットとして動作させる仕組みに発展させた。
しかも上位モデルは、キーボード部分に、インターフェイス類やバッテリーに加えて、ディスクリート・グラフィックスを搭載し、ノートパソコンスタイル、タブレットスタイルの双方で、より強力なグラフィックスを活用できるようにした。このアイディアは魅力的であり、プロユーザーを唸らせるものだった。
また2016年にはSurface Studioをリリースし、大画面のデスクトップコンピュータ全体をタッチスクリーンとして利用できるスタイルを提案した。こちらも、ハイエンドユーザー、クリエイティブ用途のプロユーザーを意識していた。
筆者がこれらのデバイスを目にした場は、例年秋に開催されるクリエイティブ系のイベント「Adobe MAX」だったが、この点でも、インパクトが大きかった。
もちろんプロフェッショナルな世界がAdobeのアプリだけで構成されているわけではないが、Adobeが買い切り型から購読型のCreative Cloudに移行したことも、クリエイターのMacからWindowsへのプラットホーム乗り換えを容易にしていると評価できよう。