堀氏がSwiftの授業で意識していることは、Swift Playgroundsでの学習の前の部分に集中している。実生活で役立つアクティビティを必ず取り入れる、という点だ。
堀 例えばデバッグを学ぶ際に与えた課題は、23cmぴったりのモノを作ろう、というものでした。様々なものの長さを使って23cmを作ろうとするとき、ぴったりにならないのはなぜか、どうすれば23cmになるのか、を分解しながら考える作業に取り組んでもらいました。プログラミング、コーディングは画面の中で起きる出来事で、縁遠いものです。反復して記憶することはできますが、それが何を意味しているかという理解にはつながりません。つまり、関西大学初等部で重視する思考力にはつながらない、ということです。
Swift Playgroundsには、「Learn to Code 1 & 2」と呼ばれる、Appleが用意した授業運営向けのガイドブックが用意されている。堀氏はSwift PlaygroundsとLearn to Code 1 & 2を用い、これに23cmを計る、ネックレスをブロックで作る、といったアクティビティを組み合わせながら、プログラミングを身近に体験できる授業作りを進めている。
堀 コード教育は早いほうが良いですが、小学校でできることは何かを考えると、自分で何かを作る、組み立てることができる、という体験を重視する方針になりました。自分で気づくことを促す授業が理想ですが、こちらが意図する気づきではない方向へ議論が引っ張られてしまうこともあります。それだけ、生徒たちの気づきは鋭いものがあるのです。