前述の通り、5、6年生はiPadを個人所有で利用しているが、学校では、他学年が利用するiPad mini、iPad Airを導入している。生徒個人向けのiPadの耐用年数は3年を1つの目安にしているが、教員向けは4年ごとに更新する計画だ。

意外なことでしたが、教材としてiPadを使用している中で、学校所有のiPadは壊れたことがありません。確かに落とすことを想定して頑丈なカバーに入れていることもありますが、学校として導入したiPadが使用不能になったことはありませんでした。生徒も、壊してはいけない、と大事に扱っているのかもしれません。個人所有のiPadの方が、油断して使うせいか、落として画面が割れたりすることもあります。学校で保険に入っているため、修理して使えるようにしています。

学校運営を構想し始めた10年前から、Macを採用する計画を立ててきたという。ということもあって、機種選定をする上でiPadを採用することはある意味、自然な流れだった、と堀氏は振り返る。今後も大きな見直しの計画はない。

4年生向けに、Swift Playgroundsの授業を行う堀力斗氏。生活の中での実感が湧くアクティビティとの組み合わせで、単なる暗記ではない定着を目指している

問題点は、世の中で出回っているデジタル教科書や電子黒板がMacやiPadをサポートしない点だ。他方、ワープロのようにインタラクティブな教科書が作成できるiBooks Authorで副教材を作成して生徒に配布するなど、Appleが整えるiPadを中心とした教育現場のエコシステムの活用も進む。

学校として、インフラを含む技術的な課題の解決が必要です。例えば生徒たちがお互いにビデオを共有する際に時間がかかってしまう場面が問題になっています。加えて、情報モラルの問題があります。引用の作法や著作権の考え方については、国語の授業のなかで扱われています。デバイスそのものや、使い方以外の課題のほうが大きいのです。