Appleは、iOS向けの著名な仕事効率化アプリ「Workflow」を買収した。このアプリは2014年に登場し、2015年にはAppleの世界開発者会議WWDCで優秀なアプリを表彰するApple Design Awardに輝いている。買収金額は明らかにされていないが、Workflowは無料化され、開発していたチームはAppleにそのまま参画することになる。Appleはなぜ、Workflowを買収したのか。そして、今後のAppleデバイスのユーザー体験に、どのような変化を及ぼすのか。
Workflowはその名の通り、iPhoneやiPadの中で、複数の機能やアプリが提供する機能を組み合わせて、1つの作業を行うワークフローを作成できるアプリだ。「3枚の写真を合成してGIFアニメを作る」、「ランドリーのタイマーをセットする」、「帰宅予定時刻を家族に知らせる」といった作業を、Workflowアプリの中から、あるいはウィジェットからワンタップでこなせる仕組みになっている。
「帰宅予定時刻を家族に知らせる」というワークフローを例に取ると、こんな作業を自動化できる。
- まず自分の現在位置を地図アプリで取得
- 家までの経路検索を行う
- そこで割り出された移動時間を見る
- メッセージアプリに移動
- 家族(例えば妻)を宛先に指定
- 割り出された時間を記入し、メッセージを送信
予定時刻が大体分かるなら、電車に乗るときにメッセージを送るだけで済ませているかもしれないが、おそらく多くの人は、帰りの時間を伝えようとする際、無意識に、このような6つのステップをこなしているはずである。Workflowで帰宅時刻を知らせるワークフローをタップすると、前述の6つのステップを自動的に済ませてくれる。アプリ間で情報を受け渡したり、APIを呼び出したりしながら、複数のステップに及ぶ作業を自動化してくれるのが、Workflowの特徴だ。アプリ内では多くのワークフローが用意されており、それらをカスタマイズしたり、自分でゼロから作ることもできる。
人気のあるワークフローには、次のようなものがある。
- 聞いている音楽をツイートする
- カフェイン摂取の記録(ヘルスケアアプリにデータ入力)
- スピードダイアル(ワンタップで通話開始)
- チップ計算
- Venmoで素早く送金(※VenmoはPaypal傘下の個人間送金アプリ)