AppleがiPhoneについて、VRに対応するデバイスであると定義することはないし、MacがVRコンテンツを消費する場として十分な状況を作り出しているわけではない。他のテクノロジー企業の取り組みに対して、Appleは、「あえて」VRへの取り組みを明言することを避けているようにも見える。

一方で、Appleがテーマにし、注目しているのがAR、拡張現実だ。

拡張現実のイメージは、日本で生まれた「セカイカメラ」や、Google Glassによる場所に応じた情報表示、そして2016年の大ヒットゲーム「Pokemon GO」では、街や公園などの実社会でゲーム内のポケモンを探す世界観、捕まえるときにすぐ目の前にポケモンが存在しているように見せる表現が取り入れられていた。

ARといえば、これ、という時代もあった。配信終了したアプリ「セカイカメラ」

実際、AppleのTim Cook CEOは、ARに対して感心を寄せ、可能性を感じると繰り返す。Cook氏は「ARは未来のAppleの核となる技術」とも持ち上げているのだ。VRと対比して、実際の人間の接触に勝るものはないとして、ARの優位性を強調までしている。

AppleがなぜARにこだわるのかを考えると、同社がこれまで、そしてこれからも、一部の詳しい人向けではなく、より多くに人々のためのテクノロジーを提供する企業であろうとしている基本的な姿勢が見えてくる。

若干、これはAppleが決めることではないように思うし、時が来たら手の平を返すだろうが、直近の近未来を想定したとき、全ての人が日常的に活用するのは、VRではなくARだという考えであり、そう行動していくとの指針を示しているのだ。