VRにとって最大の問題は、体験できる人の数の少なさだ。
SamsungのスマートフォンをセットするVRヘッドセット「Gear VR」は、世界で2016年に5,00万台を出荷した。またFacebookが買収した「Oculus Rift」はおよそ57,000台の出荷だ。スマートフォンの出荷台数とは雲泥の差があるし、そもそも、我々が日々映像に触れていれば、VRが主流ではないことはすぐに分かる。
フォスター氏は現在のVRについて、「ゲームや、企業が特定の目的で活用するコンテンツに限定されている」と指摘し、「まだまだ特殊な事例」と説明する。
実際Adobeが関わったVRプロジェクトとして、大手ケーブルテレビ企業が試作した、映像中にCoca-ColaのVRコマーシャルを挿入するデモを紹介していたが、これも、VRの世界で広告がどのように見えるのかを知るためだったという。
VRと相性の良いコンテンツとしては、スポーツ中継を挙げており、米国では野球の大リーグなどが顧客だという。フォスター氏は「2、3年後に、より多くのものが登場してくるのではないか」と期待をにじませる。
Adobeは、VRコンテンツやVRによるライブに対して、前述のように、パーソナライズされた広告を挿入できる仕組みを提供する。研究中の機能を披露するSneakでは、After Effectsで編集中のVRコンテンツに広告枠を設定すると、そこに自動的にパーソナライズされた広告が挿入されるデモを披露したところだ。