Appleの「Air」デバイスのトレンドは、2008年1月に、Steve Jobsが封筒から出して発表したことでも知られるMacBook Airから始まった。そしてiPadも4世代の進化を経て、前述の通り薄型化、軽量化、小型化が進んだiPad Airシリーズへと移行した。
MacBook Air、iPad Airに共通するイメージは、薄い、軽い、というボディのキャラクターだ。これは、Appleにおける「Air」というキーワードに付与された、新しいイメージと位置づけられる。
AppleはAirという言葉を、ワイヤレスの文脈で活用してきた。少し遡ると、AirPort(日本ではAirMac)という無線ルーターがあり、最新の製品ではAirPodsというワイヤレスイヤホンがある。またiOSやmacOSに備わっているAirDropは、無線でファイル等を受け渡すことができるインスタントなファイル共有の仕組みだ。
MacBook Airは、搭載するポート数も少なく、無線でインターネットに接続することを前提としたMacであり、従前の「Air」というキーワードに合致した製品ではあったが、ワイヤレスというコンテクストに沿いながら、小型軽量で薄型のデバイス、というイメージを追加することができた。
そして、MacBook Airは、エントリーモデルのMacとして、多くのiPhoneユーザーを惹きつけるようになった。11インチモデルは特に日本では人気があったし、13インチモデルはプログラミングを行うエンジニア、オフィスユース、そして教育現場でも広く受け入れられた。
MacBook Airについては、強固なOS基盤、モバイルデバイスの設計を背景として、特にiPhone、iPadとの相乗効果による進化をAppleは主張してきた。ハードディスクを用いず、個人による部品交換が困難なデザイン、必要最低限のインターフェイス、最大限に搭載するバッテリーは、iPad以前にiPadのコンセプトをMacBook Airに適用した姿を見せてくれた。Air時代のMacは、1つの時代を築いてきたと言える。