第5世代のiPadには、いくつかの使命が与えられている。
まずは、iPadの買い換え促進だ。確かにiPad Air 2から比べれば厚みを増しているが、比較対象はiPad Air 2ではないのだ。2011年に発売されたiPad 2や、2012年に登場したiPad(第3世代)が比較対象となる。その理由は、本連載でも触れた通り、大きな用途の変更や持ち運びがない家庭需要では、これらのデバイスが5年前後の使用に耐えている現状があるからだ。
iPad 2はRetinaディスプレイになる前のモデルであり、重さ601g・厚さ8.8mmというサイズだった。そしてiPad(第3世代)は、さらに重く厚い652g・9.4mmだ。これらに比べると、iPad(第5世代)は、大幅な薄型化、軽量化が施され、加えてベゼルが狭くなったことからサイズもコンパクトになる。
そして価格。また5年使える上で329ドルなら、買い換えようかな、と購買意欲をそそる。さらにもう一つは、耐久性だ。これは価格とともに、教育市場を意識したものと言えよう。
プロセッサは新しいが、厚みはiPad Airに戻り、重たくもなった。この厚みと重さは、バッテリーサイズに関係する。実際、iPad Air 2の27.8Whから増量され、32.4Whとなった。これはiPad Airと同じだ。カタログ上は10時間というバッテリー持続時間が示されているが、新しいプロセッサとより大きなバッテリーは、作業によってはより長いバッテリー持続時間を実現する可能性がある。
ただ、教育市場を考えるなら、バッテリー持続時間ではなく、厚みに注目すべきだ。一般的な話として、厚みがあるデバイスの方が丈夫だ。教育市場で長持ちさせるには、より丈夫であることは重要なスペックとなる。もちろん多くの学校では、頑丈なケースに収めて使っているが。