そしていま、イェリン氏のチームが新しく開発に取り組んでいるのが「ダイナミックオプティマイザー」と呼ばれる高画質化機能だ。その詳細はNetflixでエンコーディング技術の調査サイエンティストとして活躍するイオアニス・カサヴォニディス氏が説明を担当した。
ダイナミックオプティマイザーは、Netflixで配信する動画について、圧縮処理のアプローチを一新する技術だ。転送ビットレートを低く押さえながら、画質を犠牲にせず動画再生が楽しめるという特徴を持つ。カサヴォニディス氏はそのキーポイントについて、「動画をシーン単位で切り分けながら最適な画質に圧縮すること」であると説いている。これにより、処理の負担を減らしながら、同時にデータパケットも低く抑える。
セミナーの会場には動画部が100kbps前後と音声部56kbpsで構成される二つの素材を用意。現行の圧縮方式に対して、ダイナミックオプティマイザーで処理した動画の画質が格段に優れていることをデモンストレーションにより証明した。
同じ画質の映像をストリーミングした場合も、消費するデータ容量が約半分に抑えられることを示す比較パターンも用意。なお、動画の圧縮コーデックにはVP9が使われる予定だという。カサヴォニディス氏は繰り返し「数ヶ月後のローンチを予定しているこの新しい技術にぜひ期待して欲しい」と呼びかけた。