Samsungは、主力となるファブレットデバイス、Galaxy Note 7の相次ぐ発火事故によって販売を中止してしまった。

これが発覚したのはiPhone発売の前であったが、ホリデーシーズンのスマートフォン選びに影響を与えたことは間違いないだろう。結果として、2016年第4四半期、Appleはスマートフォン販売台数でSamsungを上回り、世界で最もスマートフォンを販売した企業へと返り咲いた。

1台あたりの販売価格の上昇だけでなく、販売台数が増えることはもちろん重要だ。それは、ここのところ2桁成長を続けているApp Storeを含むサービス部門の成長に直結するからだ。

2017年第1四半期決算では、サービス部門の売上高は71億7,200万ドルで、前期比13%、前年同期費比8%の成長を遂げた。新型MacBook Proのリリースで好調だったMac部門に売上高では及ばなかったが、2016年後半はiPhoneに次ぐ売上高を記録する期も何度かあった。

Appleはデバイスの販売による収益と、購入したユーザーからの収益の双方で利益を上げていくという、実に正しい戦略を舵取りしてきたことが分かる。AppleのiPhone中心のビジネスはしばらく続いていくことになる。そしてスマートフォンビジネスのハードウェア、サービス面での模範的なモデルとして、その事例を蓄積し続けている。もちろん、このケースを利用できるのは現状Google以外に考えにくいが。

iPhoneと組み合わせて利用するApple Watchは、2016年のホリデーシーズンに500万台近くが販売されたと推測され、またAirPodsは供給不足が響いたものの好調な滑り出しとなったようだ。ただし、「その他のプロダクト」部門は前年同期費-8%とマイナス成長を記録している。

今後、Apple Watchやその他のデバイスのテコ入れで、好調なiPhoneのハロー効果を同カテゴリに適用できるかについても、注目して生きたい。

松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura