KIWAMI2は、FREETELのフラッグシップモデルではあるが、スペック上はミドルレンジクラスにあたる。10コアということで期待する向きも多いと思われるが、実際の性能はどの程度だろうか。各種ベンチマークアプリなどを使って確認してみた。
まずCPU性能を計測するために「GEEKBENCH 4」を使用した。これはPCやMac、iOSにも共通するベンチマークアプリで、プラットフォームの枠を超えて性能を比較するのに便利なアプリだ。結果は、シングルコア時で「1678」、マルチコア時で「4645」。CPUがどのコアセットを使って動作したかは不明だが、マルチコア時ではQualcomのSnapdragon 820(1.6GHz)より上回るが、Galaxy S7のExynos 8890(1.6GHz)よりも1割ほど下回るといったところ。もともとMediaTekのSoCは性能よりコスト重視の作りだが、それを考慮すれば悪くない性能だ。少なくともウェブブラウズやLINEなどを使う範囲で困ることはまずないだろう。
続いて3D性能を計測するべく、「3DMark」と「Antutu 3D Bench」を使用した。3DMarkではOpenGL ES 3.0のベンチマークテストである「Sling Shot Extreme」を試してみたが、スコアは「827」で、テスト中のフレームレートも軒並み1桁台と厳しい結果に。もう一つ、OpenGL ES 2.0対応の「Icestorm Unlimited」も試したが、こちらは「11416」。筆者が過去に記録したデータと比較すると、iPhone 6s(27509)の半分以下だった。Antutu 3Dでの3D性能は「16949」。結論として、3D性能については期待値よりかなり低めだと言わざるを得ない。
実際のゲームで試してみたところ、「アイドルマスターシンデレラガールズ スターライトステージ」では推奨環境が「2D軽量」となり、「3D通常」で再生する場合、紙吹雪やぼかし処理といった画面エフェクトが利用できなかった。また3Dでの画質も、フレームレートを稼ぐためか、かなりジャギーが目立つ低解像度になっており、ゲーム目当てに購入したいという人は性能を期待しないほうがいいだろう。テーブルに置いてもカタカタしないのはデレステ向きなのだが……。
3DMark。WQHDのフル解像度で描画するSling Shotでのテスト結果はかなり悲惨。IcestormのほうはHD解像度なのでもう少しマシだが、それでも3年前程度の水準だ |
Antutu 3D。アドバイスに「Better to Play 3D games in low quality mode」とあるが、テスト中の画面もカクカクしており、確かに低画質モードでなければ厳しそうだ |
バッテリ駆動時間については「GFX Benchmark」のバッテリベンチ機能を利用したところ、162.1分(約2時間42分)という数値が出た。ただし、このテストは負荷が高いので、通常利用と比べると極端な数値になる。参考までに、システムのバッテリ表示では、アイドル状態中心の場合、丸二日近い待機時間があるようだ。
総評:手堅い端末だが、もう一声ほしい部分も
FREETELのラインナップ中ではフラッグシップモデルのKIWAMI 2だが、CPU性能は問題ないが3D性能はミドルレンジクラスと予想より低く、高性能なゲーム向け端末を期待していた人にはやや残念な結果だろう。
SIMフリーで5万円前後となると、ファーウェイの「MATE 9」やZTEの「AXON 7」あたりが競合となる。前者はライカブランドのデュアルレンズカメラ、後者はDolby Atmos対応の単独での3Dサウンド再生をサポートするほか、ディスプレイもWQHDという特徴がある。これに対してKIWAMI 2はWQHD解像度の有機ELは備えるが、ほかと比べた場合、特徴面でやや割高感があるのは否めない。
しかし、FREETELの契約であれば、端末代を月々の支払いに組み込む割賦契約(「スマートコミコミ」)も可能であり、半年単位で機種変更しても残額を支払わなくていい「とりかえ~る」オプションもある。こうした契約であれば実質1万円台で購入できることにもなるので、とりあえずハイスペックな端末を1台用意したい、というのであれば悪くない選択肢だろう。
ベンチマークだけが端末の全てではなく、メタルケースの質感の良さや急速充電、バッテリの持ちなど、ハードウェア全体の使い勝手は悪くない。これに加え希望として、個性の強化という意味では、前モデルにあったような受注生産のペイントモデルなど、日本らしさを強化し、FREETELならではの個性がうかがえるようなバリエーションもほしい。将来に期待したいところだ。