テクノロジーの進化は日々加速している。米国ではシリコンバレーに限らず、有名な大学がある街で研究開発を加速させるスタートアップがたくさんあり、これが大企業に買収されている。また、1つずつの要素技術を買収もしくはそれらに投資している大企業が、これらの技術を組み合わせて新しい体験を作り出す場面が多く見られる。

2017年は、より新しいものが加速的に登場し、それらを我々がどう受け入れるか、社会との間に生じた問題をどのように解決するか、といった議論が活発になると予測している。

そうした技術について、またその可能性について触れていきたい。ただし、前提として、多くの問題解決を行う窓口は、依然としてスマートフォンもしくはそこで動くアプリを中心に展開されていく点も留意しておくと良いだろう。その理由は、開発する側、利用する側の双方ともにコストが安く、展開しやすいからだ。

データ

我々は呼吸するごとに酸素を取り入れて消費し、二酸化炭素を排出している。二酸化炭素は大気の中に放たれて終わりだが、もしその呼吸に着目すれば、1分間の呼吸数や吸気と排気の時間比率という「データ」を、簡単なセンサで計測できる。

実際にこれをやっているのは、Spireというマインドフルネスと活動量を計測するデバイス企業だ。Spireは呼吸のデータを24時間計測し続けて、リアルタイムにその人の心理状態を教えてくれる。そして、その改善のためのトレーニングを行うことができる。

Spireは呼吸パターンをセンシングする世界初のウェアラブルデバイスと喧伝。Spire stoneと呼ばれる小型センサとスマートフォンを連携させることで呼吸データを取得。それをもとにリラックスした1日が送るようになるという(画像はSpireウェブサイトより)

何か物事をテクノロジー的に解決する際、重要なのはデータだ。アクティビティトラッカーはウェアラブルデバイスで中心的な存在になっているが、自分の健康については人々が知りたいデータであり、かつ企業にとっても、そのデータの解析や活用によってビジネスを作りやすい領域になっている。

多くのシリコンバレーのスタートアップは、他社が持たないデータをいかに取得し、それにどう価値を付けていくかを考えている。新しいデバイスやサービスが登場したとき、まず「どんなデータが発生し、活用されるのか」を考えると、これから起きようとすることを見つけやすいだろう。