サービス部門でもう一つ、主要なサービスとなっているのがiCloudだ。iCloudは様々なデータのバックアップやデバイス間の同期を行うためのサービスで、クラウドを使っている、という意識なしに「ただ動作する」という存在を目指しているものだ。
iCloudは、iPhoneやMac向けの写真アプリが「iPhoto」から「写真」(Photos)へ移行してから、クラウドに元のデータを保管するという重要な役割を持つようになった。カメラはスマートフォンにとって最も重要な機能であり、そのカメラで作り出したデータがきちんと保管され、デバイス間で同期されることもまた重要、というわけだ。
iCloudの追加容量は、50GBで月額130円、200GBで月額400円、1TBで月額1,300円、2TBで月額2,500円。もしもiCloudフォトライブラリの機能を使うのであれば、iCloudで無料で提供される5GBでは絶対に足りないため、少なくとも50GBの追加容量を購入することになる。となるとまず、初期の5GBという容量が果たして適切かという問題がある。
GoogleはGmailアカウントあたり15GBの保存容量を提供しているが、Googleフォトでは1,600万画素以下の写真とフルHD以下のビデオは無制限で保存することができる機能を提供しており、iPhoneからでもバックアップ機能とともに利用できる。
それに比べると、写真のバックアップを使おうとすれば最初から追加容量が必要となる価格と容量の設定は、問題があるといわざるを得ない。また、追加容量の区切りについても、200GBと1TBの間がかけ離れすぎており、例えば「500GBで月額800円」程度の中間の価格設定が必要ではないだろうか。
TwitterでiCloudの追加容量に関する投票を投げかけてみたところ、「写真とビデオを無制限にして欲しい」という要望が原稿執筆時点で半数近くになっている。ただし、それではiCloudの追加容量に保存するものの大半を無料で利用できてしまうことになり、サービス自体から課金する道がより狭まってしまうことを意味しているのだが……。
松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura