サービス部門を構成するのはApp Storeに加えて、有料会員数2,000万人を突破し堅調に会員数を伸ばしているApple Music、写真やデータなどを保管することができるiCloud追加ストレージなどが含まれる。

Apple Musicについては、着々と曲数を増やしている。またApp StoreでのSuper Mario Runのように、Apple Musicで先行配信する楽曲を揃えるといった魅力あるコンテンツ作りに励んできた。2016年7月にはCarpool Karaokeの放映権を買い取っている。

有料会員数2,000万人を突破したApple Music

この番組は、James Cordenが運転する車にアーティストや著名人が乗り込み熱唱するというスタイルで、過去にミシェル・オバマ大統領夫人も乗車し熱唱したことがある。この番組中で歌われた楽曲は軒並み検索数やダウンロード数がトップになるなど、音楽の口コミを作り出す「場」として機能している。

Apple MusicがCarpool Karaokeを買収することで、Apple Musicが音楽の話題を作り出す場としての役割を作り出したい、という意味合いもここには含まれている。

年末年始のApple Musicを見ていると、日本向けには「紅白歌合戦」のプレイリストが作られていた。しかしそこには22曲しか収録されておらず、紅白歌合戦の前の予習にも、放送後のふりかえりにも満足することはできない。

また、日本で大ブレイクしたピコ太郎の「PPAP」は、年末にかけてApple Musicでミュージックビデオが見られるようになったが、しばらくはYouTubeで視聴するしかなかった。もちろん、広告付きで、だ。

こうした現状を考えると、Apple Musicは音楽文化の中で、きちんとしたポジションを築くことができていないということがはっきりとしてくる。流行を作り出す場になっておらず、また過去の音楽や話題となるプレイリストを全て楽しめるようなライブラリとしての役割もきちんと果たせていないのだ。人々の音楽の聴き方の変化、という時間がかかる変化を待つ必要もあるが、より突っ込んだ取り組みをしていく必要があるだろう。