2017年1月5日~8日(米国時間)まで、米ネバダ州ラスベガスで開催されているCES 2017に出展したパナソニックは、昨年同様、Las Vegas Convention Center (LVCC)のCentral Hallにブースを確保。1,576平方メートルのスペースを使用し、「Smart Mobility」、「Smart Entertainment」、「Smart Home」という3つのテーマに分類して、企業向けソリューションや車載/航空機器デバイスの最新製品、家電製品などを展示した。
CES 2017のパナソニックブース |
1,576平方メートルのスペースに、「Smart Mobility」、「Smart Entertainment」、「Smart Home」の3つのテーマに分類し展示 |
2013年のCESで基調講演を行ったパナソニックの津賀一宏社長は、BtoBに注力する方針を打ち出し、その後、CESのパナソニックブースではBtoBの展示を増加。一方で、CESも、コンシューマ・エレクトロニクス・ショーの呼称を使わずに、「CES」へと変更。自動車メーカーの出展が増加したり、電機大手がBtoBに関する展示を増やしたりいった動きが見られており、ここ数年は、パナソニックのひと足速い動きに、展示会全体が追随してきた感がある。
今回のパナソニックブース、2016年は約6割を占めていたBtoB関連の展示を、7割強にまで拡大。よりBtoBの色彩を強めた。しかも、自動車関連製品や技術、アビオニクス事業関連の展示では、北米の事業部門が主導した形で出展内容を検討してきたことも、特筆できる動き。同社のBtoBへの取り組みが、グローバル体制のもとで推進されていることを裏付ける展示内容になったともいえよう。また、独自技術の展示だけでなく、テスラをはじめとするパートナー企業との協業成果の展示を増やしていたのも特徴だったといえる。
充実した展示のBetter Living Tomorrow
全体的に家電の展示が縮小傾向にあるとはいえ、もともと家電をDNAとするパナソニックだけに、その内容には余念がない。家電などを展示した「Smart Home」のコーナーは、「つながる家電で実現するこれからのくらし」をテーマに、近未来の家電の姿を示した「Better Living Tomorrow」、「Smart & Healthy Lifestyle」、「LUMIX Station」、そして、オープンイノベーションの一端を展示した「Future Tech Lab.」で構成されていた。
ひとつめのBetter Living Tomorrowでは、3~5年先を想定した「憧れのくらし」を表現。「人に寄り添い、くらしのこだわりを引き立てるインタラクティブな住空間と、つながる家電やサービスを通じて、心が豊かになるくらしを提案した」と位置づけ、5つの製品および技術を展示してみせた。これらは、すでにCEATEC JAPAN 2016で展示されたものだったが、米国では初公開になったものもあった。
5つの展示のうち、「In/Visible Library、Glass Curtain」では、透明ディスプレイを活用した2つのシーンを提案。壁面のインテリア収納のガラス戸や、庭につながる大きな窓に透明ディスプレイを採用。必要なときだけ映像を表示するという、住空間に溶け込んだ活用事例を示した。たとえば、料理をする際に、選択したレシピに応じて、調理手順などを説明するために、透明ディスプレイにシェフが登場。手ほどきするといった活用が行われた。
SAKE&WINEセラーでは、理想的な保存条件が異なる日本酒とワインを、棚ごとに温度と湿度を細かく調整して保存。常に最高の美味しさを楽しむ提案を行った。扉には透明ディスプレイを採用。収納している銘柄の詳細や、それぞれに合う料理のレシピを表示することが可能だ。
新コンセプトのフラットクッカーは、電子レンジの技術を応用し、テーブルで調理するという新たな提案の調理家電。調理の準備は、テーブルに埋め込まれた調理器の上で行い、鍋やフライパンを使わずに、盛り付けた皿に食材を置くだけで調理が完了するというものだ。「目の前で、好みの仕上がりで調理され、常にできたての美味しさを楽しめる」という将来像だ。
フリースタイルIHは、鍋を置いた部分のIHだけが反応し、調理を行うもの。調理スペースの自由度を高め、他の機器と連携して自動的に調理時間や火加減を調整することもできるという。
センサーカメラ付きレンジフードは、画像認識技術を応用して調理の進捗状況を判断。データは、IHクッキングヒーターの制御に用いるほか、日々の食事を記録して健康管理にも活用できるという。