視点4:新しいテクノロジーをいかに取り入れるか

アップルはシリコンバレーにおいては、必ずしも先陣を切って新しいテクノロジーをリリースする企業ではない。どちらかというと、新しいテクノロジーの需要や受け入れられ方を見て、最適解を提示する役割、というイメージだ。

だからといって研究開発をしていないわけではなく、Siriや写真アプリにはすでに機械学習の仕組みが組み込まれており、「犬の写真」といえば自分のiPhoneに保存されている犬が写っている写真を表示するまでには発達している。

2016年にシリコンバレーで注目されてきたのは、人工知能、仮想現実、拡張現実、ブロックチェーン、ロボット、デジタル玩具、データの収集と解析、センサーとIoT、自動運転、医療・健康や遺伝子の情報だった。アップルはこれらに関して、幅広く取り組んでいる企業だ。

それぞれの技術を開発するスタートアップ企業は、起業家や大企業にとっては重要かもしれないが、一般の消費者にとってはあまり関係のない話かもしれない。それよりは、こうしたトレンドにある要素技術を組み合わせたUberの自動運転車や、無人コンビニAmazon Goのほうが重要なのだ。

アップルは個別のアプリに関しては、開発者に環境を提供するプラットフォーマーとしての立場を色濃く見せる。そのため、真っ先に、新しい技術をサービス化する企業ではないのは前述の通りだ。

そのため、アップルが6月に開催する開発者会議において、どのようなAPIを公開していくのかが、我々の生活の近未来の変化を予測する鍵となる。