視点3:コンピューティングの位置づけを変更中

2016年末、Bloombergは「アップルはMacを見捨てたのではないか」という記事を掲載した。これに対してアップルのティム・クックCEOは「将来素晴らしいデスクトップを用意している」と、ユニークで戦略的な製品としてのMacに力を入れている点を指摘している。

軽視とは違うかもしれないが、Macの役割を変化させているのは確実だ。

2016年10月に、4年半ぶりにMacBook Proを刷新したが、同時に人気のあったMacBook Airの刷新を停止している。13インチモデルは併売されるが、800ドル台でラインアップされていた11インチMacBook Airの販売を終えた。これにより。1000ドルほどのMacの新製品が消えたことになる。

その穴を埋める役割をiPadに担わせようとしている点は、2016年3月に9.7インチiPad Proを発表した際、フィル・シラー上級副社長が「PCからの買い換え需要を狙う」とコメントしていることからも明らかだ。

アップルはコンピュータに関して、1000ドルという分水嶺を築き上げ、それ以上をMac、それ以下をiPadに担わせる「ラインアップの整理」を実現したことになる。

Macはこれまでクリエイティブのイメージを強く持っていたが、Adobe MAXなどを取材すると、すでにそのイメージは抜けており、MacかWindowsかはより合理的かつ好みでの選択になった。それでもMacは、iPhoneやiPad向けのアプリを開発する際に必ず必要であり、iPhoneの市場が拡大すればするほど、堅調な販売拡大を期待できる。

その分注力すべきは、販売減が続いているiPadであり、1000ドル以下のコンピューティングというポジションを確立していくため、2017年にiPad Proの製品ラインに更なる刷新をかけていくことが予測できる。