クレシン氏は、Snapdragon 835による体験の柱として、
- バッテリライフ
- 没入型体験
- キャプチャ (カメラ)
- 接続性
- セキュリティ
上記の5つを挙げ、機械学習がこれらの機能を横断的に支えると説明。これらの特徴について、具体例を示した。
- バッテリライフ
Snapdragon 820 / 821に比べて最大25%の省電力化を実現したことで、VRやゲームなどのバッテリ負荷が高いアプリケーションも手軽に楽しめるようになる。従来モデルにくらべて、1日の終わりに2.5時間以上の駆動時間を残せるという。また、Snapdoragon 835では、5分間の充電で5時間の通話時間を可能にする独自の急速充電技術「Quick Charge 4」をサポートすることも特徴となる。
- 没入型体験
従来より25%高速なグラフィックスコア「Adreno 540」を搭載し、8つのCPUコアとの連係によりAR/VR処理の高速化を可能にする。また、32bit/384kHz DSD対応の3Dオーディオをサポートするほか、モーショントラッキングの遅延を15ms低減することで、6DoF (6 Degree of Freedom : 前後、左右、上下) 移動におけるセンサー感知の遅延を最小限に抑え、より快適なVR体験を可能にする。
- キャプチャ (カメラ)
ユーザーがスマートデバイスの新製品に期待する最大のものがカメラだとし、Snapdragon 835の機能においても優先して強化にあたった。高解像度のセンサーのサポートや素早く正確なオートフォーカス、写真やビデオ撮影時の手ブレ補正など、より複雑な制御が必要になる。そのため、ベンダーによっては2つのセンサーを使って、よりインテリジェントなカメラ制御を可能にした。
- 接続性
Snapdragon 835は、ギガビットクラスのダウンロードスピードをサポートするSnapdragon X16 LTEを内蔵するだけでなく、MU-MIMO対応の2x2 802.11acもSoCに統合。また、PCI Express接続のIEEE 802.11adのマルチギガビットWiFiチップをサポートし、快適な接続性を提供する。
- セキュリティ
中国やインドでは、オンラインショッピングにおけるバイオメトリックス認証が重要度を増しており、指紋認証だけでなく、虹彩認証や顔認証、音声認証などの複合認証が求められることも。そこで、Snapdragon 835ではハードウェアベースのセキュリティ機能を強化している。
そして、クレシン氏はこれらすべての柱において機械学習が重要となるとして、CPUコア、GPUコア、DSPのすべてを利用して、効率的なヘテロジニアス演算処理を可能にすることで、音声認識やパターン認識などの精度を高める必要があると説明。機械学習ライブラリのサポートに、Caffeに加えてTensorFlowを追加し、より幅広い用途で活用できるようにする。
こうした大幅な強化が施されたSnapdragon 835は、スマートフォンやタブレット市場だけでなく、ドローンやセキュリティカメラ、オートモーティブ市場などにも裾野を広げるとクレシン氏は見る。コンピューティング用途では、ChromeOSだけでなく、先ごろ対応がアナウンスされたWindows 10対応ノートPCへの需要が高まると考えている。さらに、Snapdragon 835の性能を活かしたAR/VR対応デバイスが開発されていることも明らかにした。