カメラモジュールの実力を重点的にチェック
さて、今回特に注目したのは「カメラ」モジュールだ。
というのも、スマートフォンの機能でおそらくもっとも多くの人が日常的に活用しているのがカメラだからだ。実際に筆者自身もスマートフォンでよく写真を撮る。ただ、その性能に100%満足しているわけではない。
デジタルズームは不便なこともあるし、暗所での撮影はスマートフォンには難しい。画質そのものにも不満はある。このカメラモジュールでそれがどこまで解消されるのか。使い勝手や画質をチェックしてみた。
ちなみにこちらのカメラモジュール、HASSELBLAD(ハッセルブラッド)というメーカーの名前が入っている。ハッセルブラッドは業務用のカメラやレンズなども開発・発売しているスウェーデンのメーカーである。そんなところが協力して開発したカメラモジュールとなれば、期待も膨らむというものだ。
カメラモジュールは標準のカメラとどう違うのか。まずは違いをおさえておこう。
標準カメラは画角(撮れる写真の範囲)が35mm換算で約25mm(と思うのだけど、どこにもスペックが見つからなかったので多少の誤差はあるかも)。1300万画素。最近のスマートフォンらしく、かなり広角だ。
一方、カメラモジュールは広角端こそ同じく25mmだが、10倍まで光学ズームができるため、望遠端だと250mmに達する。10倍ズームはコンパクトデジカメとしては今どき珍しくもない数字ではあるが、スマートフォンとしては破格のズーム域である。
画素数は1200万画素と、標準カメラに比べて100万画素ほど少ないが、実写にはたいして影響はないだろう。
さらに右手がかかりやすいようにグリップがあり、物理的なシャッターボタンやフラッシュまで搭載している。もはや見た目も機能もちゃんとしたカメラである。
カメラモジュールを装着している間は、アプリを普通にタップする他、シャッターボタンの横にある電源ボタンを押すことでカメラが立ち上がる。レンズが繰り出して撮影可能になるまでの時間は1~2秒といったところで、デジタルカメラとしてみれば早くも遅くないレスポンスだが、いちいちロックを解除したりアプリを立ち上げる手間がないのは便利だ。
このカメラモジュールと標準カメラで同じ被写体を撮ってみた。
掲載の作例はクリックで拡大表示。さらに拡大写真の右下「原寸大画像を見る」をクリックすると、作例の元データをそのまま表示する |
被写体や撮影条件にもよるが、カメラモジュールの方が明らかに画質が良い。標準カメラもスマートフォンとしては決して悪くないのだが、シャープネスがきつくて比較するとぜんぜん違う。
それから標準カメラはデフォルトでHDRが自動になっており、よくいえば黒つぶれ白飛びに多少強いのだけど、そのせいでメリハリがない写真になることも多かった。今回は途中で気付いてHDRは切ってある。
色の出方がけっこう違うのも見てわかると思う。カメラモジュールの方が色が鮮やかに写るのだ。単に画作りの違いかもしれないが、同じ機種内で分ける意味もわからないので、カメラモジュールの方が色乗りが良いのだと思う。
EXIFの実焦点距離から見るに、おそらくカメラモジュールの方がイメージセンサーが大きく(1/2.3インチ)画質に余裕がある印象だ。そりゃデジタル一眼からすれば五十歩百歩だけど、比較してわかるくらいの違いがあるというのはけっこう大きい。
広角端で比べてもこれくらい違うのだけど、カメラモジュールの真骨頂はやはりズーム。
10倍ズームだとこれくらい拡大して撮れる。日中の屋外であれば限界までズームしても画質は特に落ちないが、オートフォーカスは広角端と比べて顕著に遅くなるので、少し注意が必要だ。
画角を自由に変えられる恩恵はやはり大きく、望遠端を使えばスマートフォンでは難しい"背景をボカした写真"も撮ることができる。カメラマニアとしては「ボケの良し悪しが云々……」と言いたくなるところだが、これはあくまでスマートフォン。後からの画像処理で不自然なボケになるよりよほど良いと思う。