性能を追求する一方で、高性能CPUから発する放熱対策が大きな課題となったが、エアフローやファンを再設計し、放熱効率を向上させることでこれを解決した。
「従来モデルでは、底面から吸気したものを冷却ファンを通じて排気していたが、新開発の『W吸気新空冷システム』では、底面からの吸気とともに、新たに追加した背面口からも吸気。さらに、厚さ3.7mmとし、HDDの軸受技術を応用した軸受け搭載型ファンを使用。ファンの長寿命化も実現した。
基板面積を14%小型化
また、従来のKIRAシリーズに比べて、メインボードとIOボードの基板面積を14%小型化。部品レイアウトや配線を見直し、剛性感と熱処理にも配慮。10層のHDI基板を採用し、部品実装間隔0.2mmという高密度実装技術を採用。「各種シミュレーションにより、基板の小型化と高信頼性を実現している」という。
具体的には、応力シミュレーションにより、振動や衝撃などの動荷重に対するPCB挙動を確認し、CPUなどの主要部品にかかる負荷を低減させるため、基板上に小型L字板金を最適な位置に実装。信頼性を維持しながら基板面積の小型化を実現した。
キーボードに補強リブ、操作感向上へ
また、設計段階から堅牢性を最重視し、100kgf面加圧や、76cm落下にも耐える剛性を実現。強度、変形、熱応力、振動、衝撃などを、パーツごとや部分ごとのシミュレーションだけでなく、組み上げた状態でもシミュレーションを行う「まるごと解析」により、「全体バランスを最適化した形で、堅牢性を達成している」という。
キーボードカバー部には、応力シミュレーションを活用した補強リブを採用した構造とすることで、カバー剛性を19%向上。キー入力とクリックパッドの操作感を改善したほか、ヒンジ部には、新たに開発した高信頼性を実現する2軸ヒンジを採用する。柏木氏は「構造設計や素材選定によって、ヒンジ剛性を強化。長い期間使用していても、360度回転させてしっかり回り、しっかり止まり、ガタつかないようにしている。2万回以上の360度開閉テストを行い、信頼性を実証している」と語った。