ZEV規制の対象メーカーが拡大

欧州で実施されるCO2排出量の1キロメートルあたり95グラム規制に相当するのが、米国で2025年から実施される1ガロンあたり56.2マイルという燃費規制だ。これを日本の表記に換算すれば23.9km/Lとなる。ほぼ、欧州のCO2排出規制に近い数値と言える。ちなみに、最新のスバル・インプレッサの燃費性能は、1.6Lエンジン車で18.2km/Lである。

新型インプレッサ

さらに、日本車にとって重要な市場であるカリフォルニア州では、ZEV規制が敷かれている。これは、カリフォルニア州の市場で販売される新車のうち、ある割合を排ガスゼロ、すなわちEVや燃料電池車(FCV)などのゼロ・エミッション・ヴィークルとしなければならないという法律だ。

過去、この規制の対象となってきたのは、新車販売台数の多い大手自動車メーカー(GM、フォード、クライスラー、トヨタ、日産自動車、本田技研工業)に限られたが、2018年からは中堅どころのダイムラー、BMW、フォルクスワーゲン、マツダ、スバル、現代自動車、起亜自動車、ボルボ、ランドローバーも対象となる。

さらに2018年からは、これまでZEVの数に含めることのできたハイブリッド車が、対象から外されることになった。すなわち、ガソリンエンジン車やディーゼルエンジン車の燃費も年々よくなり、またハイブリッド車の販売台数も増え、ハイブリッド車を優遇はできないとの判断だ。そして、PHVは残される。

ZEV規制が拡散する可能性も

欧州の自動車メーカーがPHVの開発を急ぐ背景には、地元EUでのCO2排出量規制に加え、カリフォルニア州でのZEV規制強化も絡んでいる。

なおかつ、2018年というと少し先のような気がするが、米国で販売される新車のモデルイヤーは前年の秋から始まる。つまり、来年2017年の秋以降に販売される新車はこの適用となるわけである。

また、カリフォルニア州だけの話だろうと高をくくってもいられない。カリフォルニア州での販売が不振となれば、米国市場での日本車の販売不振と同義語といっていい事態に陥る。また、1990年代のZEV規制法案から、カリフォルニア州の規制に追従する他の州での動きがあり、2013年には、東海岸と西海岸沿いの8州(コネチカット、メリーランド、マサチューセッツ、ニューヨーク、オレゴン、ロードアイランド、バーモント、そしてカリフォルニア)の知事が、ZEV導入のためのアクション計画に調印している。

話は長くなったが、日本では、欧米市場で急速に起こりつつあるエンジン車存続の厳しさがほとんど話題にのぼらないが、海を越えれば、エンジンの存続さえ厳しくなる規制が差し迫っているのである。この傾向は、中国市場にも及ぶとみられている。