米国市場開拓の旗頭「レガシィアウトバック」が登場
1989年に、レオーネの後継としてレガシィが誕生したときから、スバルはステーションワゴンをツーリングワゴンと呼び、そのうえ「リゾートエクスプレス」と価値づけて、スキーやキャンプなどのレジャーに出かける際に、4輪駆動で安心して、また乗用車として快適に移動できる特徴を打ち出した。これが大人気となる。
2世代目のレガシィでは、ツーリングワゴンの車高を少し高め、道路と車体の間にゆとりをもたせた「グランドワゴン」(輸出名では当初よりアウトバック)という車種を1995年に追加している。これが、今日に至るアウトバックである。これはまさに、冒頭で述べた未舗装路を走ることも視野に入れた米国市場を意識した車種追加であった。
アウディにも、車高を上げた「オールロードクワトロ」という車種が1999年に、2世代目の「A6」に車種追加される。レガシィのアウトバックを意識したのではないかと思われる。今日では、「A4」にもオールロードクワトロが車種追加されているが、日本国内の価格で比較しても、A4オールロードクワトロの価格は、レガシィアウトバックの2倍近くする。
ドイツでは、速度無制限のアウトバーンを200km/hで走行できる性能を持つことが前提となるが、米国内のフリーウェイの速度は、日本の高速道路とほぼ同じだから、そのような道路環境でアウディほどの性能は必要ない。スバルで十分だ。しかも、乗用車の4輪駆動としての走破性に不足はない。
レガシィアウトバックは、米国人にとってまさしく最適なバリュー・フォー・マネーな、あるいはアフォーダブル(手ごろな価格)な乗用4輪駆動車なのである。しかも、ほかの選択肢は、ボルボの「クロスカントリー」の4輪駆動車くらいだろうか。それも、レガシィアウトバックより高価だ。