路面状況の変化が多い米国で受けるのはどんなクルマか

米国では舗装された道を走ったあと、未舗装路に足を踏み入れることが日常的にあり得るのである。もちろん、本格的4輪駆動車でないと走れないような悪路ではないにしても、舗装路と未舗装路の行き来は珍しいことではない。

また、年中快適な気温と好天に恵まれるロサンゼルスに住んでいても、自動車で2時間ほど走ればスキーのできるリゾート地へ行ける。

前置きがずいぶん長くなったが、以上の様なわけで、自動車での移動中に、未舗装路や雪道へ走り込む機会は、米国では身近に存在する。したがって、米国で販売される自動車のタイヤは、オールシーズンタイヤといって、少々の降雪であればそのまま走行できなくはない種類が装着されている。

それほど路面状況に変化が多い米国だからこそ、4輪駆動の自動車がもたらす安心感は高く評価される。そこに、スバルの4輪駆動車がまさに適合した。

4輪駆動化への取り組みが奏功

スバルは、1958年に軽自動車の「スバル360」で自動車づくりに乗り出し、1966年には小型車の「スバル1000」を生み出す。その後継が1971年の「レオーネ」である。そして翌1972年には、レオーネのバンに4輪駆動車を設定した。40年以上前の話だ。道なき悪路を走破するためのジープのような4輪駆動車ではなく、市街地を普通に走る自動車の4輪駆動化にいち早くスバルは着手していた。

レオーネのエステートバンに4輪駆動車を設定(1972年)

舗装路を走る、いわゆるオンロード4輪駆動は、1980年に登場したドイツの「アウディ・クワトロ」からとの認識が高いが、スバルはそれより先に乗用車での4輪駆動車を生み出している。ただし、その4輪駆動は、2輪駆動と4輪駆動を運転者自らの手で切り替えて使うパートタイム方式であったため、誰でも簡単に使える機構というより、降雪地帯などで重宝する4輪駆動だったといえるだろう。

対してアウディ・クワトロは、常に4輪駆動でありながら、日常の使い勝手にも優れるフルタイム方式を導入し、アウトバーンを高速で安定して走れる4輪駆動車という価値を強く主張した。レオーネも、1986年にフルタイム方式を導入している。

以後、フルタイム4輪駆動は、レオーネの後継となる「レガシィ」、1992年に新登場となった「インプレッサ」などほかの車種へも広く展開された。