官・民を上げて啓蒙を
最後に、エプソン販売の蟹澤啓明氏が登壇して販売戦略について紹介した。新製品のターゲットユーザーは、学校(小中高)、大学、企業。教育現場では「もっと簡単に使いこなしたい」、教育委員会からは「活用率を向上させたい」といった要望が上がっている一方で、現状は「ハードウェアを導入しても授業に役立てられるのか」「使いこなせるのか」といった不安の声も大きい。これが活用率が上がらない要因になっているという。蟹澤氏は「ICT機器の導入を通じて理解を促進していく。官・民を上げて、啓蒙に努めていかなくてはならない」と語っていた。
大学では、学習スタイルの変化への活用、また学生が能動的に学習を進めていくアクティブラーニングの推進などへの利用も期待されている。大講義室に旧型のプロジェクタが設置されているケースも多く、こうした場所のリプレイスも円滑に進めていきたい考え。このほか、企業では会議コストの削減と効果的なプレゼンの両立が求められている。大学と同様、常設された旧型プロジェクタのリプレイスも進めていく。
製品ラインナップが増えたことで、「どのモデルが良いのか分からない」というユーザーの声も予想している。そこでエプソンでは、消費者が最適な製品を選べるよう、伝え方を変えていく。蟹澤氏は「従来のカタログではスペックをアピールしていたが、新製品では利用シーンからお伝えしていく。メリットをきちんとお伝えできるよう、魅せ方を工夫していく」と説明した。
Webプロモーション、店頭デモなどにも注力する。例えば、新製品には高解像度モデルが追加されているが、スペックを見ても価値が伝わりづらい。そこでショールームにて、新旧製品を並べて比較デモを行う。並べてみると、細かい字の見え方などが異なるため、正しい価値を訴求できるとした。このほか無料でユーザー企業などを訪問し、デモを行うといった活動も積極的に行っていく。
導入後もランニングコストが膨らまないよう、消耗品である交換ランプの値段を従来品の1/3から1/4くらいにまで値下げする。また、初期導入のイニシャルコストは捻出できるが、保守費用は無理……といった学校に向けて、「電子黒板フルサポートプラン」を新設。トラブル時に部品交換が受けられるほか、消耗品の交換も行えるようにした。「いつでもベストな状態でプロジェクタをお使いいただきたい」と蟹澤氏。
ビジネスプロジェクタの販売目標は「今後の1年間で約15万台」に設定した。蟹澤氏は、最後に「私どもの責任としてシェアを獲得していくだけでなく、市場の裾野を広げていきたい。プロジェクタの価値を正しくお伝えして、そのメリットを業界全体で享受していけたら」と話した。
既述の通り、エプソンのプロジェクタでは光源に3LCD方式を採用している。これについて「他社では光源にLEDを採用した製品が増えているが」と質問されると、内藤氏は「技術的に検討しており、お客様にどういった価値を提供できるかリサーチしている。その上で価格、性能にミートする部分が見えてくれば、投入を検討していきたい」と回答した(エプソンでも、大ホール設置型といった大型のプロジェクタにはレーザー光源を使用したモデルがある)。