Paulson氏は、テクノロジーが自分の生活やキャリアを切り拓くチャレンジの要になっているとしており、Appleへの絶大な信頼を寄せている。このことこそが、Appleが得ている大きなメリットと言えるだろう。ただしそれは最大のメリットではない。
前述の通り、アクセシビリティ機能は、必ずしも障害を持つ人々の助けのためだけではない。同じハードウェアやソフトウェアで、あるいはアクセシビリティ機能を開発した過程で得られた知見は、一般のユーザーにとっても便利な機能を生み出すきっかけになっており、我々はそうしたサイクルをより多く見つけることができるようになってきた。
現在Appleでは、ユニバーサルデザインに関しての長年の取り組みが実を結びつつある。しかし、その取り組みを止めることなく続けていくこと、そしてテクノロジーを助けに自分の夢を実現する人々が増え続けることこそ、全ての人類がテクノロジーによる恩恵を受け続ける未来につながるだろう。
松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura