AppleはmacOSだけでなく、iOSやApple Watchなど、製品ラインアップ横断的に、アクセシビリティに関する開発を行ってきた。macOS Sierraでは、システム環境設定に、アクセシビリティの機能が分かりやすくまとめられており、Paulson氏が利用していたスイッチコントロール以外の機能にアクセスすることができる。

また、iPhoneやiPadも、タッチデバイスでありながら、画面の選択肢の読み上げや音声入力などをサポートしており、視覚障害者による活用も可能となっている。WWDC16で開催されたApple Design Awardでは、全盲のDJが、DJアプリDjay Proを用いて華麗なミックスを披露していたことも印象的だった。

Apple Design Awardに輝いたDJアプリDjay Pro

Djay Proのデモでは、全盲のDJ、Ryan Dour氏がプレイを披露した

Appleは、アクセシビリティ機能への取り組みは、製品開発の当初から組み込んでいると強調する。同時に、障害者向けの機能にとどめない活用も進めている点が印象的だ。 例えば音声入力機能については、タップ操作ができる筆者であっても、iPhoneやApple Watchなどで頻繁に使用するようになった。音声でiPhoneの機能を呼び出すSiriにお世話になる場面も多い。

そちらの方が素早くシンプルに、やりたいことを実現できるからだが、言い換えると、音声のみで操作するほうが、ある機能については素早くアクセスできていた、ということでもある。アクセシビリティ機能だからといって、余計に時間がかかる操作ばかりではない点に驚かされる。