AppleはMacBook Proを発表した「hello again」イベントにおいて、冒頭で「アクセシビリティ」に関するウェブサイトの公開をアナウンスした。

「hello again」イベントで、「アクセシビリティ」に関するウェブサイトの更新をアナウンスするCEOのTim Cook

ここ最近のAppleのイベントでは、冒頭に、社会的責任に関する取り組みが紹介されることが多い。今年に入ってからのイベントでも、人々のプライバシーとセキュリティを守ること、地球環境問題への取り組みとゴールなどが語られてきた。アクセシビリティについても、Appleという世界最大規模のテクノロジー企業として、責任あるポジションに立ってリードしていく、そんな姿勢をアピールしている。

Appleは、製品や知的財産のコピーに対しては手厳しく対処しているが、プライバシーや環境問題、アクセシビリティに関しては、むしろ同じ方向を向いて取り組みをともにする仲間が増えた方が、我々人類のためだ、と考えている。

10月27日に英語版として登場したアクセシビリティに関するウェブサイトは、11月8日に日本語版が公開された。このページでは、普段我々が使うMacやiPhoneなどのデバイスやソフトウェアに搭載されているアクセシビリティと、それを利用している人々の事例が紹介されている。

4人の事例が紹介されているアクセシビリティのウェブサイトの中で、macOSに搭載されているスイッチコントロールを生かして、ビデオアーティストとして活躍しているSady Paulson氏と話すチャンスがあった。

Paulson氏は、脳性麻痺で体が不自由であるため、頭を使ったスイッチコントロールでMacを操っている。マウスやキーボードの動きを、選択と決定の2つのボタンだけで鮮やかに使いこなす姿には驚かされ、またスイッチで操作できることを知らなかったことに、さらにびっくりする。

Paulson氏はMacのiMovieに出会って以来、コンピュータが自分の日々の生活やクリエイションを支えてくれるとして信頼を寄せるようになったという。米国のオンライン大学でシネマトグラフィーの学位を取得し、現在ではFinal Cut Pro Xをスイッチコントロールで操りながら、ビデオ制作の仕事をしている。その仕上がりからは、彼女が障害を抱えているかどうかを推し量ることはできない。

同時に、iPhoneやiPadでは、予測変換も活用しながら、コミュニケーションを取ることができるという。Paulson氏は、自分のような脳性麻痺の障害を抱える人々にも、Macを使って、障害者に対するステレオタイプな思い込みを超えて、自分らしい表現や、自分自身について知ってもらうことにチャレンジすべきだと訴える。