AmiVoiceとWatsonは何が違うか

AIコンシェルジュサービスでは、顧客から電話を受けると、その会話文をAmiVoiceをベースとするエンジンがテキスト化し、人工知能が文脈を解析して質問の意図を理解する。その上で過去の質問DBから関連の高いものを検索し、解答用の文章を生成。その文章を再びAmiVoiceエンジンが音声として出力する、という仕組みだ。

システムとしてはすでに三菱銀行や関西電力などで実用化されているという

AIコンシェルジュサービスがWatsonと違うのは、サポート業務が100%自動化されている点だ。U-NEXTマーケティングによると、1日8時間稼働するサポート4回線を維持するのに1カ月あたり約120万円かかり、これにシステム構築やセンターの維持費などがかかる。一方、AIコンシェルジュサービスであれば、同じ4回線を24時間365日稼働させても毎月50万円程度で済むという。その他にかかるコストは初期のDB構築用のコンサルティング費用だけで、システムの導入費はゼロという徹底ぶりだ。

多言語対応が可能な点も、音声認識技術に強いアドバンスト・メディアの技術があってこそとなる

サポート体制としては格安のシステムは、サポートコストをかけられない中小企業にとっても嬉しい話となるはずだ

こうした低価格で売り出す背景には、AIを使ったサポート業務という市場を立ち上げたいという思惑もあるようだ。いずれにしても最初には、過去のサポートデータを効率良くDB化するためのコンサルティングが必須なため、そこで基本的な収益はカバーできるということだろう。また現時点では正答率は80%程度ということで、おそらく複雑な案件になれば人力によるフォローが必要になるだろうが、トータルで見れば人間の数は減らすことができる。多くの企業にとって運用コストの安さはかなり魅力的だろう。

ユーザーが接するところである音声認識については、デモも体験したが、かなりの精度だ。もともとAmiVoiceは日本語音声認識エンジンの定番ソフトとして人気を集めるソフトであり、標準語であれば非常に高い認識率を誇る。また、人工音声による応答もかなり自然で、コンピュータの合成音声のイメージをだいぶ修正させられるレベルだった。

AIコンシェルジュサービスでスマートフォン上のキャラクターをUIにした例。単にサポート電話を受けるだけでなく、予約の確認や当日現地の天気予報といったサービスも展開できる