さて、米国太平洋夏時間9月9日午前0時1分に、iPhone 7・iPhone 7 Plusの予約が開始された。iPhone Upgrade Program利用者も、他のユーザーと同じように自分の在庫を確保するために予約する必要がある。
しかし、製品を受け取れるのは発売日の翌日、9月17日午前8時からとウェブサイトに掲示してあり、かつ、アップグレードが受けられる対象店舗は全てのApple Storeが対象とはなっていなかった。筆者の最寄りのバークレー、エメリービルのApple Storeは対象外で、サンフランシスコの店舗まで行かなければならない。
そして、やっとつながったAppleのウェブサイトにおいて、アップグレード対象かどうかを確認するプロセスしている間に、筆者が予約しようとしていたT-Mobile向けのiPhone 7 Plus 128GB ジェットブラックの在庫はとっくになくなってしまっていた。
対象店舗に在庫がなければ予約できないため、つまりは、在庫が落ち着くまではアップグレードの予約をできないということになる。 ジェットブラックはものの10分で初回在庫がなくなるほどの人気ぶりで、今後も品薄状態が続くことが予想されるため、いつ新機種を手に入れられるか分からない状態だ。
iPhone発売時の争奪戦は、毎年過酷さを増すばかりで、予約の難しさについては特別な感想を持っていない。ただ、iPhoneを使い続けることを約束するiPhone Upgrade Programのユーザーに対して、優遇するどころか、逆に予約のハードルが上がってしまっている点には、失望の色を隠せない。
筆者が予約できなかった、そして今後、いつ予約できるのか分からない、という当事者であったことで、本稿にその気づきを記録することができた。毎年買い換えたいというユーザーに対して、違った対応を取ったほうが、ブランドの向上につながるのではないだろうか。
例えば、iPhone Upgrade Programを利用しない方が、最新のiPhoneを早く手に入れられるならば、このプログラムの理想、すなわちiPhoneを毎年買い換えてくれるユーザーを囲い込むことに対して、逆効果になってしまうのではないだろうか。
そんな疑問に対して、今後Appleがどのように対応していくのか。
松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura