飽和している先進国のスマートフォン市場においては、いかに他社のユーザーを獲得し、自社のユーザーの流出を防ぐか、という戦略を採る必要がある。

米国においては、iPhoneユーザーからSamsung GALAXYシリーズへの流出は5%程度に留まっているとみられており、GALAXYからiPhoneへの流出の14%より低い数字だ。多くのiPhoneユーザーはiPhoneプラットホームに留まって買い換えをしてくれているのが殆どということだ。

こうしたユーザーに対しては、他社との比較よりも、今自分が使っているiPhoneよりもいかに優れているのか、という点が買替え需要を作り出す。これはSamsungにとっても同じことで、スペックよりデザインを重視して失敗したGALAXY S6の教訓を生かし、GALAXY S7で顧客を取り戻した。

Appleの発表会では、カメラ、防塵・耐水機能、オーディオ機能、そしてA10 Fusionプロセッサによるパフォーマンスとバッテリー持続時間向上をアピールした。

買替え需要の喚起という点では訴求力のあるiPhone 7シリーズ

特にA10 Fusionの説明では、1つ前の機種との比較だけでなく、初代iPhone以降の処理性能・グラフィックス性能の進化を表すグラフを示したが、以前のiPhoneを利用している人々に対して、最新のデバイスがいかに過去のデバイスを引き離しているかを強調する狙いがある。 既存のiPhoneユーザーの買替え需要の喚起が、iPhoneの販売台数に直結する時代の戦い方として、いかにiPhone Upgrade Programを利用して、毎年買い換えてくれる人を増やすか。2年から3年に伸びつつあるiPhoneの平均買い換えサイクルの短縮化を図ることができるのか、今後の動向を見守りたい。