Appleは2015年のiPhone 6s発表時に、新たなiPhoneとのつきあい方を提案した。「iPhone Upgrade Program」は、月額料金を支払うことで、毎年iPhoneを買い換えられる仕組みを提供してきた。昨年の導入から1年がたち、iPhone 7購入者は、初めてのiPhoneの「アップグレード」を経験することになる。

このプログラムの仕組みと意味、そして筆者も初めてのアップグレードに備えた、9月9日の予約開始時の経験についてレポートする。結論から言えば、本原稿を執筆している段階で、予約することはできなかった。

原稿の後半で述べるが、Appleのウェブサイトでの予約の方法から考えると、在庫が落ち着くまではアップグレードの予約ができないかもしれない。

現時点で日本では未提供のiPhone Upgrade Program

iPhone Upgrade Programは、ユーザーに「毎年新しいiPhoneを購入してもらうこと」を目的とした施策だ。SIMフリーのiPhoneを自分の好きなキャリアで利用でき、24回分割払の12回分を支払うことで、新しいiPhoneにアップグレードできる。しかも129ドルかかるAppleCare+にも自動加入できるメリットもある。

筆者は、米国でT-Mobileの回線で利用しているiPhone 6s Plus 64GBを、iPhone Upgrade Programで購入した。初回の手数料を支払った以降は、毎月40.75ドルずつを支払うことになる。既に12回の支払い、つまり半額の支払いを済ませたとこから、新しいiPhoneに乗り換えられる。

iPhone 6s Plus 64GBモデルは849ドルであり、その半額の約425ドルを既に払っていた。同モデルについて、新型iPhone発表後の下取り価格は300ドル程度であることを考えると、毎年iPhoneを購入したいユーザーにとっては、下取り価格とAppleCare+の分を合わせて、250ドル以上有利になる。

これまで、スマートフォンの分割払いは、日本も米国も同様に、携帯電話会社が顧客を囲い込むために活用していた。日本では複雑な割引きキャンペーンと相俟って、ほぼ0円でiPhoneを利用できるパターンまであり、総務省が提供価格に関して干渉しだすという事態に発展した。

実は、米国のキャリアは、2016年のiPhone商戦に向けて、0ドルiPhoneのキャンペーンを競うように打ち出しており、日本とは逆行した動きとなっている。

Appleは、こうしたキャリアの囲い込み戦略を、スマホメーカーとして取り入れた。それがiPhone Upgrade Programの姿なのだ。