講師によると、このようなリーダー研修では、女性の方が互いの意見を上手に聞きだし、多様な意見が速やかに出てくるという。また、コミュニケーションを重視する傾向が高く、それぞれ社内にロールモデルがいないことによる不安や戸惑いなどを相談して、解消している姿が見受けられたという。上司やメンバーなど職場を巻き込むコミュニケーション。リーダーとしての自信につながる意識の促進。これが女性活躍のカギになるかもしれない。
そのほかにも、「等身大の女性管理職とは」をテーマに、女性の管理職登用が進んでいる企業で実際に管理職として働く女性の話を聞く、女性管理職向けセミナーや、企業の人事担当者などに向けた「女性管理職の育成と風土作り」セミナーなどを開催している。
さらには、パソナグループ内を横断したダイバーシティの取り組みのノウハウや、経験をパッケージ化してワンストップで提供するサービスも展開。企業の行動計画の策定や、従業員の意識調査、人事制度設計のコンサルティングといった法人向けサービスから、女性管理職育成研修、仕事と育児の両立セミナー、介護相談など、女性が企業で活躍するための課題となりえるものを網羅的にケアしていこうとしている。
中小企業にも広がるか“女性活躍”への取り組み
女性活躍推進法が定める行動計画の提出について、300人以下の中小企業については現状、努力義務だが、厚生労働省は、中小企業に対しても女性活躍の重要性を理解し、企業競争力の強化などにつなげていってもらおうと女性活躍を加速させていくための事業を開始。6月にパソナが、「中小企業のための女性活躍推進事業」を受託。中小企業に対して、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画の策定、女性活躍の状況について優れている企業に対し3段階で評価する「えるぼし」認定の取得に向けた支援をスタートさせた。7月26日の東京を皮切りに、全国で行動計画等策定に関する説明会を開催している。また、無料で保険労務士、中業企業診断士などといった資格を持った「女性活躍推進アドバイザー」が、電話相談や企業訪問をして、個別の支援も行うという。
“女性活躍”の取組みが加速する理由
女性活躍推進法そのものは、現時点での数字と行動計画を外に向かって示す義務しか課していない。それにもかかわらず、企業はなぜ、対応を急ぐ姿勢をみせているのか。
安倍政権が掲げる「一億総活躍社会」の実現に向けたの熱の高さから、企業もやらざるおえない状況にあることはもちろんだ。だがこの法律に関して言えば、企業のデータが同じ基準で一覧できるようになることで、数字の細かさや、取組みの具体性などから、企業ごとの温度差、進捗度合いがより見えやすくなったのだ。さらに、提出した行動計画に本当に基づいて女性活躍の取り組みが進められているのかどうか今後、見えてきてしまうことになる。就職における指標のひとつになることはもちろん、企業イメージにも関わる。「出来てすごい」から「出来て当然」になっていけば、当然遅れた企業は優秀な人員が確保できず、結果業績にも影響してくるなどなど様々な影響が出てくる可能性があるのだ。だからこそ、パソナが取り組む事業の意味は大きい。
パイが少なく、育成に時間がかかる女性管理職の候補。女性にとっては、プレッシャーであるものの、大きなチャンスのタイミングといえるだろう。一方、企業にとっては、数ある課題の中でも、急がなくてはならない項目となるだろう。