意識改革。今まで会社内に女性が少なかった企業だと、職場に女性がいることがまれだったため、どうしたら最適な職場になるのか理解できていない男性も多く、一方でロールモデルがいない職場に入っていく女性にとっても分からないことは多くあるだろう。特に、管理職においてはその前例が多い企業は、より少なくなるから深刻な問題だ。
実際、パソナキャリアが昨年管理職の女性を対象に行った調査によると、約55%が管理職になることに不安を感じていることが分かっている。
女性活躍推進法施行にあわせ「女性管理職担当チーム」結成
そんな中パソナキャリアでは、女性活躍推進法が施行される4月を前に、「女性活躍推進コンサルティングチーム」を発足させた。女性3人の専用コンサルタントが、営業に同行、企業が採用したい女性社員をヒアリング。マッチングしたのち、入社後も活躍できるようにサポートをしているのだ。
5月上旬、都内にあるパソナ本社に、メーカー、ITなどさまざまな業界の18社、25人の女性が集められ、講習会が行われた。年齢も20代後半から40代までと幅広い女性たち。ここで行われているのは、パソナキャリアが提供するサポートの1つ。女性の管理職・管理職候補者を対象にチーム力を高めるためのリーダーシップや問題解決能力、長期的なキャリア形成を考える「女性リーダー育成プログラム」だ。
リーダーとして必要になる意識・考え方を学ぶ
この「女性リーダー育成プログラム」では、「リーダーシップ」「チーム力の最大化」「問題解決力」「キャリア」について計4回の講習を受ける。対象となるのは、各企業で管理職経験2年以内の女性もしくは、管理職候補とされている女性だ。
彼女たちがなぜ、同社の講習に参加しているのか。ここに、女性活躍の1つの課題、先に述べた「ロールモデルの不足」が横たわる。
社内でロールモデルとなる人がおらず、自身がロールモデルとなることを期待されている参加者。同じような境遇の仲間同士で同様の悩みを共有し不安を解消していく。そんなことが期待されている。
プログラムでは、講習の前に参加する女性の上司からアンケートをとる。内容は、参加する女性にどのようなことを学んできてほしいか、どんなリーダーになってほしいかといった期待などだ。これは女性が上司に書いてもらうようにお願いするのだが、それによって、上司も本人と一緒にキャリアを考える機会を作る、その意識付けをおこなうことができる。また、女性本人が上司との対話をした上で参加をするので、モチベーションにつながるのだ。やりっぱなしにしない……。ここでの対話自体も意識改革を促す狙いがある。
取材に行った際には、「リーダーのための問題解決力」というテーマで講義が進められていたが、特徴的なのは、ディスカッションが多いことだった。4つのチームに分かれて美容院を題材に、不満につながる項目、また来ようと思う項目をチームで討議して、「顧客にとっての価値」「顧客が負担するコスト」「顧客の利便性」「顧客との対話」の4つに分類して問題と解決策の洗い出しをおこなっていた。これによって現状がどのようなもので、あるべき姿とのギャップがどこにあるのかを把握するという。