現状、画面下端にホームボタンがあり、その両サイドは空白の領域が広がっているのだが、AssistiveTouchを見ていると、だんだん「ホームボタンも画面内に配置すれば良いのではないか」というアイディアが強くなってくる。
ホームボタンの仮想化は、ホームボタン脇の空白の領域と、画面上部の受話スピーカーとFaceTimeカメラの脇にある領域とともに、これらをディスプレイエリアで埋めることができるようになる。
結果として、iPhoneの全面ディスプレイ化を実現できるのだ。その際、液晶画面よりもより低い電力で、かつ必要な箇所だけを点灯させることができる有機ELディスプレイとの組み合わせが最適となるだろう。
また、ホームボタンそのものの役割も変化するかもしれない。
現行のTouch ID内蔵ホームボタンも、「触れる」+「押下」という2つの動作を検知できる。ちょっと一般的ではないかもしれないが、厳密に言えば「触れないで押下」という動作も可能だ。ホームボタンを使ってホーム画面を点灯させたいが、ロック解除したくない場合、ツメでホームボタンを押すことで、ロック解除を回避できるのだ。
感圧ホームボタンに変わることで、もっと多彩なことができるようになるはずだ。ボタンの押下にも、強弱が付く。通常の押下はホームボタン、強い押下はタスク切り替え、という差もつけられるだろう。また、触れてから力をかけるといった動作や、縁で軽く力をかけながら指を回転させる、といった検知もできれば、ズームやスクロールといった新たな役割を実現するだろう。
松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura